滋賀銀行が勘定系システムを刷新する決断を下した。2020年3月期の連結純利益の約1.6倍に当たる総額200億円を投じて、日立製作所製のオープン系システムに切り替える。同行の高橋祥二郎頭取に地方銀行を取り巻く経営環境や勘定系システムの全面刷新を決断した経緯を聞いた。

(聞き手は山端 宏実=日経クロステック/日経コンピュータ)

高橋 祥二郎(たかはし・しょうじろう)氏
1979年、立命館大学経済学部を卒業し、滋賀銀行に入行。2008年取締役営業統轄部長。取締役副頭取などを経て、2016年に取締役頭取(現職)。京都府出身。1956年8月生まれの64歳。
[画像のクリックで拡大表示]

少子高齢化や超低金利など地銀には逆風が吹いています。生き残りに向けて、どんな将来像を描いていますか。

 我々は「課題解決型金融情報サービス業」を目指しています。伝統的な融資だけでなく、M&A(合併・買収)やビジネスマッチングの支援など銀行が手掛けているものは全て金融仲介です。例えば、M&Aを仲介しようと思えば、色々な条件整理が必要です。これはシステムだけでは無理で、人が調べないといけない。今後、地銀には人間力とシステム力のハイブリッドが必要になるはずです。

システム面では総額200億円を投じて勘定系システムを全面刷新する決断を下しました。狙いは。

 前回の2017年1月のシステム更改は、災害対策の強化が主な狙いでした。コストミニマムで更改を終えましたが、行内から「次をどうするのか、できるだけ早く考えた方がいい」という話がありました。銀行のサービスが多様化し、商品がどんどん増えていくなかで、今のシステムがサステナブルなのか。検討を重ねた結果、現行システムをそのまま使い続けることは難しいという結論に至りました。

 新システムはメインフレームではなく、オープン系の仕組みを採用します。外部のシステムとつなぎやすく、非常に柔軟性が高い仕組みです。銀行の勘定系システムは堅牢性も欠かせませんが、オープン系システムの精度もかなり高くなっており、十分に使えると判断しました。実際、オープン系システムに移行した地銀も出始めています。

 システム更改に当たっては(経済産業省がシステムの老朽化に警鐘を鳴らした)「2025年の崖」への対応もきっかけの1つになりました。既存システムの中身を知っている人がいないと移行は難しい。1988年に稼働した第3次オンラインシステムの開発に関わり、今も行内に残っている人は限られています。こうした方々が働いてくれている間にシステムを更改し、知識や技能を若い世代に継承する狙いもあります。

とはいえ、これだけ大きな投資となると、葛藤もあったのでは。

 勘定系システムの更改は慎重に慎重を期してやらなければいけませんが、決断してからも葛藤はあります。ただし(投資額を抑えるため)やり方は工夫しています。例えば、既存の商品や業務を残したまま移行するのではなく、デジタル化を念頭に思い切って整理します。実際、顧客の理解も得ながら、一部の商品をなくしました。帳票関係も必要のないものはかなりそぎ落としています。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。