日本マイクロソフト社長に吉田仁志氏が就いて5カ月がたった。マイクロソフトは最近、GAFAなどと比べて「大人になった」と言われることが多いが、果たして本当だろうか。就任して初めて分かったマイクロソフトの実態、クラウド事業戦略などについて吉田社長に聞いた。

(聞き手は玉置 亮太=日経クロステック/日経コンピュータ、山端 宏実=日経クロステック/日経コンピュータ)

吉田 仁志(よしだ・ひとし)氏
1983年、米タフツ大学を卒業し、伊藤忠グループの事業会社に入社。1995年、米ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズに入社。2006年、SAS Institute Japan社長。2015年、日本ヒューレット・パッカード社長。2019年10月から現職。米ハーバード大学ビジネススクールで経営学修士号(MBA)を取得。(写真:村田 和聡、以下同)
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社長就任から5カ月がたちました。自社の強みと課題をどう認識していますか。

 私は長くIT業界にいて、ビル・ゲイツと同じ時代を過ごしてきました。マイクロソフトに友人も多かったので、一緒に育ってきたような感覚を持っています。今のマイクロソフトは創業のころはもちろん、15年ほど前のWindows全盛の頃と比べても、だいぶ違います。

 単にソフトウエアのライセンス販売からクラウドサービスへと事業の主力を移しただけではありません。背景にビジネスモデル変革があります。マイクロソフトは自身のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実際にやってきている会社です。

マイクロソフトは企業として一巡した

 実はマイクロソフトは創業時のミッションを既に達成した数少ない会社と言えます。「全てのデスクと全ての家庭にコンピューターを」というミッションを達成したので(企業の成長サイクルでいえば)すでに一巡しています。Windowsの更新時期に合わせて、製品を最大限に売るビジネスモデルを極めてしまったわけです。

 クラウド時代になると、お客様と契約しても、実際に使ってもらえないとお金をもらえません。お客様はいつでもキャンセルできます。ある意味、営業は永遠に終わらない。

 我々は「Learning all」と言っていますが、いかにお客様に学び、理解するかに重きを置いています。ですから、あらゆる会議体で「学びは何か」を絶えず聞くカルチャーが根付いています。そこが従来とだいぶ違うところです。

 それにWindowsやOfficeのライセンス販売が主体だったころはマイクロソフトしかいないような市場でしたから、シェアはあまり関係がなかった。どちらかというと社内に競争の仕組みをつくって、国・地域ごとに競わせながら、切磋琢磨(せっさたくま)してきました。今は市場があり(ライバルがたくさんいるので)もっともっと謙虚にならなければいけない。

「マイクロソフト帝国」や「傲慢」といわれていたのは昔の話だと。

 実際、(データを牛耳る巨大IT企業の代名詞を)「GAFA」と呼びますが、マイクロソフトは出てこないでしょう。

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