2021年4月にNECの社長に就任した森田隆之氏。新中期経営計画で2025年までに利益率8.6%を目指す。合理的と判断すればM&A(合併・買収)をためらわないと強調、買収会社を生かし政府・金融事業を強化する。海外担当役員やCFO(最高財務責任者)の経験者ならではの改革論を聞いた。
(聞き手は浅川 直輝=日経コンピュータ編集長、田中 陽菜=日経クロステック/日経コンピュータ)
2020年度はNECが長く目標にしてきた営業利益率5%を達成しました。同年度を100点満点で自己採点すると。
80点ですね。新型コロナ禍のような不測の事態があっても結果が重要であり、約束した利益率を達成できたのは合格点と言えるでしょう。2020年度を最終年度とした前中期経営計画の期間に、成長の布石として4500億円を投じて(英国の公共分野向けITサービス企業)ノースゲート・パブリック・サービス(NPS)やデンマークのKMD、(スイスの金融ソフト大手)アバロクを買収しました。グローバルで次のステップに行けるベースができたと言えます。
前社長の新野隆氏は「実行力」を課題に掲げていました。
はい、実行力の改革は新野が主導的に進めてきました。実行力の鍵となるのは会社全体の文化改革や社員のエンゲージメント(仕事へ熱意を持って取り組む度合い)です。課題も多かったですが、各種施策で社員のエンゲージメントがグローバル人事サービス企業の調査における平均並みに高まりました。これらがプラス点です。