米レッドハットが、米IBMの描くコンテナ戦略を実行に移している。クラウドとオンプレミス(自社所有)環境の連携を売りにするレッドハットのコンテナプラットフォーム「OpenShift」の活用を進めている。340億ドル(約3兆6000億円)という巨額買収から約1年、現時点での成果はどうか。また新型コロナウイルスにどのように対処していくのか。2020年4月にレッドハットの製品&テクノロジーのプレジデントから、同社の社長兼CEO(最高経営責任者)に就任した、ポール・コーミア氏に聞いた。

(聞き手は市嶋 洋平=シリコンバレー支局)

ポール・コーミア氏
米レッドハットの社長兼CEO(最高経営責任者)に2020年4月に就任した。2001年にレッドハットに入社し、箱売りからサブスクリプション、エンタープライズへの注力に取り組んだ。直前まではプロダクトを担当していた(出所:米レッドハット)
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2019年7月に買収作業が完了しIBMの一員となった。IBMの傘下に入るという規模の経済と、これまでレッドハットが推進してきたオープン性。どちらを重視しているのか。

 やはり両方だ。

 まずビジネスの側面に立つと、経済的なスケールが求められる。

 オープンについては1つ言いたいことがある。「我々はオープンソースの会社ではない」ということだ。オープンソースはソフトウエアを作る方法だ。我々はオープンソースの開発モデルに基づいた、エンタープライズソフトウエアを開発し提供している企業である。IBMはレッドハットというソフトウエア企業をその分野で過去最大額で買収したわけで、オープンソースそのものを買収したわけではない。

 もちろん顧客にはオープンソースを好きになってもらう必要はある。ただ顧客にイノベーションを届け、課題を解決してもらうのが我々の役目だ。そのために、オープンソースが価値をもたらすいい方法であるということだ。

IBMの傘下で1年が経過しようとしている。現時点での成果は何か(インタビューは2020年6月)。

 IBMは約20年前のレッドハットの最初の投資家でもある。その時からずっといい関係を保ってきた。

 成果には2つの側面がある。我々はレッドハットのプロダクトをIBMの戦略に組み込むことができた。IBMはオープンソースのコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」を活用した自身のコンテナプラットフォームを持っており、それを販売していた。そうしたなかで、異なる環境のコンテナを管理できるプラットフォーム「OpenShift」を持つレッドハットとパートナーを組んでいくことを決断したわけだ。

IBMはレッドハットのKubernetesを顧客に提供

 IBMは独自のKubernetesプラットフォームを持っていたがそれをやめて、レッドハットのKubernetesプラットフォームであるOpenShiftを顧客に提供し始めている。例えば、(IBMの主力のアプリケーション実行環境である)WebSphereがOpenShift上のコンテナで稼働する。

 もう1つが市場の側面だ。両者のプロダクトにほとんど重なりがない。IBMは多くの国でビジネスを持っており、レッドハットのセールスチームは各地でIBMと一緒に活動し、これまで取り引きがなかった顧客とのビジネスが始まっている。

 このようにプロダクトと市場の両面で、高いレベルでのシナジーが実現している。毎日のように一緒に活動している。私はIBM CEOのアルビンド(・クリシュナ氏)にリポートしており、IBM社長のジム(・ホワイトハースト氏)と働いている。ジムがレッドハットからIBMに入って関係がさらに強まっている。アルビンドはレッドハットの買収を主導した人物でもあり、よく理解してくれている。

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