新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの企業で在宅勤務に移行している。米国では都市封鎖(ロックダウン)から3カ月以上が経過した。新たな感染者が再び増える中、クラウドサービス「Dropbox」の利用に変化が起きている。同サービスを提供する米Dropbox(ドロップボックス)のドリュー・ハウストン共同創業者兼最高経営責任者(CEO)に聞いた。

米ドロップボックスのドリュー・ハウストン共同創業者兼CEO。2006年にマサチューセッツ工科大学で電気工学とコンピューターサイエンスの学士号を取得。07年6月、ドロップボックスをアラシュ・フェルドーシ氏と共同で創設
(撮影:シリコンバレー支局)
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新型コロナウイルスの影響をどうみている?

 企業に大きな影響を与えている。産業によるとは思うが、旅行や外食、さまざまなサービスが特に大きな影響を受けている。中小の事業者にとっても厳しい状況だろう。

 一方でスタートアップにとっては、チャンスでもある。Dropboxは金融危機のさなかの2008年9月にサービスを開始した。この危機は私たちが成長する助けとなった。というのも多くの顧客が金融危機に関連して問題を抱えていたからだ。我々が解決できれば、それに対応するソリューションを提供すればいい。いい時期に会社をつくったと思う。

20年1~3月期の決算で黒字化を達成した。18年の上場以降初の黒字化に、何が寄与したのか。

 世界中で求められる製品を提供してきた結果ではないか。特にこのコロナ禍の状況下で、自宅でのリモートワークに求められるサービスを提供していることが大きい。これが追い風となり、初の黒字を予定より早く達成した。

 もっとも我々は長期にわたって持続するビジネスを構築することに専念している。特にこの2~3年は投資を続けている。今は規模の拡大を追い、クラウドサービスという我々のビジネスモデルを試すときだと考えている。

クラウドストレージサービス大手の米Box(ボックス)と競合する。同社に対する優位点は。

 強調したいのは、Dropboxのサービスの規模だ。1400万人の有料ユーザー、個人とは別に45万の法人組織がある。そして(無料も含めた)登録ユーザーは6億人にもなる。Dropboxを使いやすいと感じてくれているから利用者が多い。仕事の相手もDropboxを持っている可能性が高い。ファイル送付の際に実際に送らなくても済むし、共有もしやすい。いろいろなプラットフォームでの利用や連携をサポートしている点も優位点だ。

他社のアプリやツールと一緒に使ってもらうことを重視

最近、Dropboxではどのような利用形態が増えているのか。

 オフィス勤務者が自宅で働かなければならなくなったようなケースだ。新型コロナウイルスの感染拡大が契機になった。

 多くの企業は社内だけからアクセスできるファイルサーバーを利用している。だが、もはや社内だけの環境は利用できない。多くはクラウドに移行し始めた。しかも地域によってはロックダウンへの対応のため、移行が急だ。1日や1週間などの短期で対処する必要があった。実際、対応できない企業は多かったと聞く。Dropboxは、対応を迫られた企業や知的労働者の要望に応えることができた。

 我々の顧客は、Microsoft OfficeやGoogleのアプリ、ビジネスチャットのSlack、ビデオ会議サービスのZoomなどさまざまなサービスを利用している。Dropboxはこうしたサービスと一緒に使ってもらうことを重視している。

 例えばDropboxのフォルダー共有などの機能だ。Slackであれば、同じテーマの投稿(スレッド)にDropbox上のファイルを添付するのは簡単だ。Dropbox上のファイルをZoom画面に呼び出したり、Zoomミーティングの録画ファイルをDropboxにコピーしたりもできる。

 こうしたZoomと連携させた機能の利用人数が、20年2月から4月にかけて実に20倍にもなった。この驚くべき数字は、顧客がDropboxをさまざまなサービスと接続したいと思っている証左だ。

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