新型コロナの治療薬候補で注目を集める中外製薬が、デジタル活用へ大きくかじを切った。成功率3万分の1ともされる新薬開発にAIを駆使し、開発スピードを飛躍的に高める。デジタル部門トップの招へいや若手の抜てきなど、社内の風土改革にも取り組む。

(聞き手=浅川 直輝、玉置 亮太、鈴木 慶太)

小坂 達朗(こさか・たつろう)氏
1976年北海道大学農学部農芸化学科卒、中外製薬入社。MR、国際部を経て、米国ニューヨーク駐在。1995年に英子会社の中外ファーマ・ヨーロッパ社副社長、2000年中外製薬医薬事業戦略室長、2002年執行役員経営企画部長。2010年取締役専務執行役員、2012年社長最高執行責任者(COO)、2018年社長最高経営責任者(CEO)。2020年3月から現職。1953年生まれの67歳。(写真:村田 和聡)
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新型コロナウイルス感染拡大が世界で深刻さを増しています。自社の業績および製薬業界全体への影響は。

 観光業や飲食業、自動車産業などと比べれば製薬業界への影響は限定的です。ただ、医者にかかる人の数が減り薬の売り上げは減少していますし、薬の承認に必要な臨床試験が遅れていて中長期では影響が出てくるでしょう。

 コロナの感染拡大を食い止めるには治療薬とワクチンが欠かせません。世界中の製薬企業が今、薬の開発に力を注いでいます。当社はワクチンの開発はしていませんが、既存薬である関節リウマチ治療薬「アクテムラ」を新型コロナの重症患者の治療に生かすための治験を、戦略パートナーであるスイスのロシュと組んで進めています。

中外製薬は2020年3月、デジタルの新戦略「CHUGAI DIGITAL VISION 2030」を掲げました。

 当社が経営戦略で最も重視するのは「イノベーションの加速」。そのためにはデジタル技術やAI(人工知能)の活用が必須です。デジタルは社会を変え、産業を変え、中外製薬を変えます。ゲームチェンジャーになる可能性を秘めているのです。

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