東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)傘下のきらぼし銀行は2020年5月、基幹系システムの刷新を成功させた。旧東京都民銀行と旧八千代銀行の基幹系システムが併存していたが、これらを一本化した。新型コロナウイルスの流行に伴う緊急事態宣言下、社員への感染リスクがある中でシステム統合を決行できた理由はどこにあるのか。東京きらぼしFGの味岡桂三会長に「決断」の背景を聞いた。

(聞き手は大和田 尚孝=日経BP総研 イノベーションICTラボ、山端 宏実=日経クロステック/日経コンピュータ)

味岡 桂三(あじおか・けいぞう)氏
1981年3月に大阪大学法学部を卒業し、同年4月に日本銀行入行。大分支店長や金融機構局参事役などを経て、2009年6月に金沢支店長。2011年5月、東京都民銀行(現きらぼし銀行)入行。2016年4月、東京TYフィナンシャルグループ(現東京きらぼしフィナンシャルグループ)代表取締役社長。2020年6月から取締役会長(現職)。1957年4月生まれの63歳。(写真:村田 和聡、以下同)
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緊急事態宣言の発令中にもかかわらず、基幹系システムの統合を決行しました。

 システム統合の場合、(全銀システムを運営する)全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)に対し、システム統合を予定通り進めるのか、それともフォールバックするのかを約1カ月前までに伝える必要がありました。我々は3月27日に開催した取締役会で経営判断を下さなければなりませんでした。

 プロジェクトに関しては、システムの品質やテスト結果の検証、元帳移行の準備に問題ありませんでした。5回にわたって営業店試験もやり、接客や事務担当者の習熟度も十分な水準に達していた。プロジェクトに対する外部専門家や第三者の評価も重要ですが、「問題ない」という評価でした。

 あとは新型コロナウイルスの情勢をどう見るか。この時点で東京を中心に感染は拡大していましたが、欧米のようなパンデミック(世界的大流行)になるという専門家の見方は少なかった。感染防止を徹底すれば、5月6日に予定通りできると判断しました。

システム切り替え時でも銀行のシステム部門とITベンダーで200~300人規模が関わるだけに、感染防止は容易ではありません。

 主要ベンダーのNTTデータとも話し合い、お互いに(関係者を2チームに分ける)スプリット体制を確保しました。リモート勤務に使えるタブレットを追加で約1500台配布し、会議は原則としてテレビ会議方式に移行しました。

 遠隔でのコミュニケーションで乗り切れたのは、プロジェクトの最終工程だったからという面があったと思います。川上の要件定義などであれば、対面のコミュニケーションもより必要だったかもしれません。すでに銀行と委託先のメンバーがお互いを十分に理解していたので、テレビ会議でのやり取りでまったく問題ありませんでした。

 むしろ移動時間を節約でき、効率的にプロジェクトを進められました。ウィズコロナの時代は「3密」で要件定義などを進めることはできませんから、オフライン(対面)とオンラインの併用になるのではないでしょうか。

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