東京証券取引所で2020年10月1日に発生したシステム障害は、1999年の取引全面システム化以来初となる全銘柄の終日取引停止につながった。東証は市場関係者との協議により「システムを再起動すると(証券会社などから送信済みの注文の扱いなどを巡り)投資家などに混乱が生じると想定され、終日売買停止した」と説明する。auカブコム証券の斎藤正勝社長は「短時間で復旧するためのシステム対応やBCP(事業継続計画)の策定を怠ってきた一部の証券会社に全体を合わせることが本当によいのか」と異を唱える。証券取引市場のデジタル化が進む中、SE経験を持つ斎藤社長が語るあるべき事業継続の姿とは。

(聞き手は金子 寛人=日経クロステック/日経コンピュータ)

斎藤 正勝(さいとう・まさかつ)氏
野村システムサービス(現野村総合研究所)、第一証券を経て1998年に伊藤忠商事入社。日本オンライン証券の設立に携わり、1999年の同社設立に伴い同社入社。2001年にカブドットコム証券(現auカブコム証券)に移り、2004年から社長。(写真提供:auカブコム証券)
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後場からの再開に備えて待機していたが…

システム障害が発生した10月1日、社内の対応や東証とのやり取りはどうなっていましたか。

 東証が障害に備えて多重化しているシステムなので、再起動をすれば9時なり10時なりに動かせるだろう、百歩譲って後場寄りで再開できると思い、社内のシステム対応をして待機していた。ところが前引け(午前の取引終了時刻である11時30分)後の昼休みに「後場(午後の取引)も開かない」という情報が流れてきて驚いた。

 当日夕方の会見を聞いたところ「複数の証券会社と対話した結果として、総合的に(10月1日中に)再開させるべきではないと判断した」と言っていたが、当社にはそのような問い合わせは来ていないし、対面系やオンラインの大手証券会社数社に確認しても同様の回答だった。どの証券会社と対話したのか、どの証券会社が再開させるべきではないと言ったのかは分からないままだ。

 東証からすれば、限られた時間で聞きやすい証券会社に問い合わせたのかもしれないが、基準が明確でないところとの対話だけで再開の是非を判断するのは疑問だ。そもそも再起動すれば復旧できると分かっていながら、一部証券会社との対話により見送ったのは理解できない。

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