主にITエンジニアを客先常駐させるサービス形態である「SES(システムエンジニアリングサービス)」。日本のIT業界に多く見られるが、その闇は深い。SESの闇に斬り込む。

 今回はSES企業の「人事」をやり玉にあげる。

 多くのSES企業には企業ビジョンもポリシーもない。ITエンジニアを客先に送り込んで、利ざや(マージン)さえ得られればそれでよし。要は手配屋である。

SES企業の闇:何もかもが「行き当たりばったり」。人事機能不在がもたらす地獄絵図
(出所:あまねキャリア工房)
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 当然、しっかりとした人事部門は存在しない。いるのは営業と、商品としてのITエンジニアと、事務員のみ。それ以上のコストをかけようとしない。人手の少ない中小企業であれば、人事部門がないのは理解できる。専任部署がなくとも、人事機能がないのは大いに問題だ。とはいえ営業が人事権を持つと、これまたおかしなことになる。その悲劇っぷりは前回書いた通りだ。

 人事機能不在は、次のような害悪をもたらす。

(1)他人任せのキャリアプラン

 人事機能不在のSES企業において、ITエンジニアのキャリアプランなど誰も考えてくれないし、支援もしてくれない。ITエンジニアが育つか育たないかは、ずばり「運次第」である。

 良い案件や、良い常駐先に恵まれればキャリアアップやスキルアップのチャンスを得ることができる。スキルや徳のある人と出会え、新しい技術にチャレンジする機会があり、オフィス環境にも恵まれ、ITエンジニアとしての人権がある働き方ができればラッキーだ。

 一方、ハズレを引くと目も当てられない。人権がないかのような環境で、モチベーションも主体性も思考力も奪われ、延々と下働きだけをこなす。下手をすれば、1年、2年、あるいは3年以上を無駄に過ごすことになる。当たりを引くか、ハズレを引くか。その差は大きい。いわゆる「案件ガチャ」「常駐先ガチャ」である。

 おのずとキャリアプランは運任せ、他人任せになる。

 クラウドの技術を身につけたくとも、常駐先が「オンプレミス」といえば「オンプレミス」の環境に身を置くしかない。それどころか、GitHubやSlackすら使わせてもらえない。進捗管理や課題管理も、Excelどころか常に口頭。技術力どころか、基本的な仕事のマネジメント能力を伸ばす機会もどんどん奪われていく。

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