日経BPが2019年11月28日に都内で開催した「日経 xTECH ITイノベーターズサミット」では、企業でデジタル変革をけん引するCIOやCDOなど「日経 xTECH ITイノベーターズ」のエグゼクティブメンバー(幹事会員)40人の他、ITベンダーの識者がDX成功の道筋について議論した。

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の成功要因は何か。DXを進める上で気をつけるべきポイントとは。ディスカッションや講演を通じて、ITベンダーの識者5人が各自の考えを披露した。

DXを成功させる3つの鍵がある

―アクセンチュア デジタルコンサルティング本部 マネジング・ディレクター 長部 亨 氏

 アクセンチュアの長部亨のデジタルコンサルティング本部マネジング・ディレクターはDXの成功要因について「キーファクターは3つある」と言う。

アクセンチュアの長部亨のデジタルコンサルティング本部マネジング・ディレクター
(撮影:井上 裕康、以下同じ)

 1つめは「カスタマーオリエンテッド」。徹底的に顧客志向を突き詰めることだ。「BtoBの企業であっても、広く消費者のことを考えて自社のビジネスを見つめ直すことが重要」と長部マネジング・ディレクターは言う。

 2つめは「スティック・トゥ・バリュー&スケール」。「当たり前のことだが、DXの取り組みが企業の収益にどう結びつくか、戦略的に考えなければならない」と長部マネジング・ディレクターは言う。DXというと、面白そうな新サービス創出などに目が向きがちだが、企業として稼がなければ意味がない。

 3つめは「リビングビジネス」。モノやサービスを1回提供して終わりではなく、継続して価値を提供し続けることだ。長部マネジング・ディレクターが例に挙げたのがiPhoneである。「iPhoneはデータが蓄積されていくほど使いやすくなる。デジタルの世界では、商品は経年劣化ではなく“優化”する」(長部マネジング・ディレクター)

「社員は俺の考えを理解していない」と言う社長は危ない

――ワークデイ 社長 鍛治屋 清二 氏

 財務・人事業務のクラウド「Workday」を提供するワークデイの鍛治屋清二社長が指摘したのは、DX時代の従業員のマネジメントのやり方だ。

 「(DXを推進するには)米シリコンバレーのIT企業のように技術力に自信のある人材をマネージし、自社に長くとどまってもらう方法を真剣に考えなければならない。そのためには、従業員が企業や上司に対して何を求め、考えているのかについて、発信してもらえる人事システムが必要だ」と鍛治屋社長は言う。

ワークデイの鍛治屋清二社長

 逆に「従業員に対して一方通行的にメッセージを発信しているだけの企業は危ない」と鍛冶屋社長は指摘する。特に「社員が俺の考えを理解していない」などと社長が言っている企業は“要注意”だという。そのような企業では、「優秀な社員のモチベーションを落とし、逃げられてしまうだろう」(鍛治屋社長)。

デジタル化の先を見据えて「人のつながり」を考えるべき

――アビームコンサルティング 執行役員 プリンシパル P&T Digitalビジネスユニット長 赤石 朗 氏

 アビームコンサルティングの赤石朗執行役員プリンシパルP&T Digitalビジネスユニット長も、従業員のモチベーションについて言及した。DXによって人の心情がどう変わるかに着目し、近未来に向けて問題提起した。

アビームコンサルティングの赤石朗執行役員プリンシパルP&T Digitalビジネスユニット長

 赤石執行役員の主張はこうだ。DXの進展により、消費者は自分にパーソナライズされたサービスを受けるのが当然になる。すると、「パーソナライズされたサービスを受けることに慣れた人は、自分の考えを会社に合わせることに抵抗を感じるだろう。そうなると会社に入ってもなじめなくなる」と赤石ユニット長は指摘する。

 この他、交流サイト(SNS)の普及から「自分の所属するコミュニティーを自ら選択するのが当たり前になり、企業への帰属意識が弱まる」とも赤石執行役員は予想する。加えて、企業の業務には人工知能(AI)がより多く使われるようになるため、「AIが人間に支持をしたり、AIが人間を評価したりする将来も考えられる」(同)。

 こうしたDXによる社会の変化を予想しながら、「どうすれば従業員が会社に愛着心を持てるか、社内での人と人とのつながり方を考えなければならない」と赤石執行役員は主張した。

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