不動産テックとは、不動産分野で提供されるIT(情報技術)やIoT(インターネット・オブ・シングズ)技術の総称を指す。海外ではReal Estate Techや「ReTech」のほか、Property(土地・建物)とTechnology(技術)の造語である「PropTech(プロップテック)」とも呼ばれる。

 不動産テックの領域は多岐にわたる。目的別では商慣行の改革や人材不足の解消、顧客満足度の向上などがあり、不動産分野のDX(デジタルトランスフォーメーション)につながっている。

 米国では2010年代前半以降、不動産テック関連のサービス立ち上げが急増し、そうした事業への投資額も伸びた。注目を集める領域の1つが「iBuyer(アイバイヤー)」と呼ばれる不動産オンライン買い取り再販サービスである。住所や築年数、修繕履歴などのデータベースを基に、AI(人工知能)が適正価格を割り出すもので、2014年に設立した米オープンドアなどのサービスが浸透しつつある。

業務支援、マッチング、ARなど多岐に

 不動産テックの潮流は日本にも急速に広がる。例えばすむたすやFANTAS technologyなどが、適正価格を算定するAIを活用しマンションの買い取りサービスを始めている。

 矢野経済研究所によると、2020年度の不動産テックの国内市場規模は前年度比8.6%増の6110億円となった。2025年度の市場規模は、2020年度と比べ約2倍の1兆2461億円に拡大すると予測する。

 三井不動産や三菱地所、NTT東日本、セールスフォース・ドットコムなどが加盟する「不動産テック協会」は、2021年7月にまとめた「不動産テック カオスマップ(第7版)」で国内の不動産テックを12領域に分けている。

 具体的には、「仲介業務支援」、物件情報を集約して掲載するサービスである「物件情報・メディア」、物件所有者と利用者などの「マッチング」、不動産や空きスペースをシェアする「スペースシェアリング」、データを用いて不動産価格や賃料の査定などを行う「価格可視化・査定」、「VR(仮想現実)・AR(拡張現実)」機器を活用したサービス――などである。

 不動産テックを提供する事業者は不動産開発会社や不動産管理会社、不動産情報サービス会社、ITベンダーなどだ。また、大企業に限らず、スマートロックのビットキーや、クラウド録画のセーフィーのようなスタートアップ企業も含まれる。

 不動産テック関連のサービスを提供するスタートアップ企業との連携は、既存事業の強化や新サービスの開発を進めたい不動産開発会社が積極的だ。

 ITを得意とする不動産情報サービス会社による取り組みも活発だ。その1社、アットホームは2015年、不動産仲介会社向けにWebサイトでの接客・内覧、遠隔地から契約者に物件の「重要事項」の説明ができるサービスを始めた。2019年には、AIの開発やデータ解析などを手掛けるグループ企業「アットホームラボ」を設立し、不動産テック関連サービスの開発を加速している。