日常生活のあらゆる場面で活用できる総合型アプリケーションのこと。スマートフォンで一般的に使われるサービスを単一のアプリに統合し、操作体系も統一しているのが特徴だ。具体的にはメッセージの送受信、決済、電子商取引(EC)、チケットの予約、ライドシェアなどのサービスを提供する。

 スーパーアプリに搭載されたサービスをミニアプリと呼ぶ。スーパーアプリ内に各ミニアプリを内包する形のほか、外部アプリを呼び出し、OpenID Connectプロトコルでシングル・サインオンする形もある。ミニアプリごとのID・パスワードや決済情報の登録を不要とし、ユーザーの利便性を高めている。

対話、決済、配車など核に用途拡充

 スーパーアプリが早い段階から普及したのは中国や東南アジアだ。国や地域ごとの特色に合わせて広がり、主要なスーパーアプリは数億人規模に普及している。中国では騰訊控股(テンセント)の対話アプリ「WeChat」と、アリババ集団の決済アプリ「Alipay」が代表例だ。中国では偽札の横行を背景に、両アプリによるキャッシュレス決済が浸透。その後2社がアプリの機能拡充で競い、スーパーアプリの普及を早めた。

 東南アジアではシンガポールのグラブとインドネシアのゴジェックの2社が、配車アプリを核として外部企業との提携によりスーパーアプリへと成長させた。東南アジアは口座の保有率よりもスマホの保有率が高く、またライドシェアの利用率が高いことがスーパーアプリ普及の背景にある。

 国内ではZホールディングス傘下の対話アプリ「LINE」や決済アプリ「PayPay」、KDDIの決済アプリ「au PAY」などがスーパーアプリ戦略を採っている。例えばZホールディングスはPayPayのスーパーアプリ戦略の一環で、系列の金融事業会社6社の社名をPayPayブランドに統一した。またPayPayとLINEは開発者向けにミニアプリのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開し、外部との連携も視野に入れる。au PAYも同様に金融系のミニアプリ拡充やAPIの公開などを進めている。

 PayPayやau PAYの中核機能であるQRコード決済の市場は拡大している。キャッシュレス推進協議会の調査によると、2020年の取扱高は4兆2000億円と、前年比で約4倍に急増。各社はポイント還元などのキャンペーンを通じ、決済アプリの導入を促してきた。この決済アプリに自社サービスを集約した上で、自社サービスでカバーしきれない顧客をミニアプリで獲得する考えだ。

 国内各社は自社のスーパーアプリの中核機能と親和性の高いサービスをミニアプリとして集めることで経済圏を構築し、収益の最大化を狙う。TISの岩崎貴司DXビジネスユニットペイメントサービスユニットモビリティサービス部エキスパートは「WeChatやAlipayのように、あらゆる人の日常を網羅することは考えにくい。各アプリとも、中核アプリの特色を生かすようなミニアプリの構成となるだろう」と予測する。