複数のSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)や、SaaSとオンプレミスのシステムとのデータ連携を支援するための機能を提供するクラウドサービス。「アイパース」と読む。

 iPaaSの特徴は、エンジニアがプログラミングをしなくても多数のSaaSを連携できる点だ。Webブラウザー上で利用するSaaSを選択し、パラメーターなどを設定するだけでデータ連携が可能になる。米グーグルのGSuiteや米セールスフォース・ドットコムのSalesforce、米ワークデイのWorkdayなど著名なSaaSに対応しており、中には1000種類以上のSaaSと連携できるサービスもある。

 米スラック・テクノロジーズのSlackや米マイクロソフトのTeamsといったビジネスチャットに対応したiPaaSも多い。販売管理などのSaaSと連携させることで「商品の発注があったらビジネスチャットで担当者に通知する」などとワークフロー(業務の一連の流れ)を作成し、これまでバラバラに進めていた作業をつなげて自動化できる。

 iPaaSはシステム間連携に必要なAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を公開している。それを使って連携プログラムを作成することで、基幹系などオンプレミスのシステムとSaaSとの間でデータをやり取りできるようになる。

 営業やマーケティング、サービスセンターなどの部門ごとに複数のSaaSを利用している企業は、iPaaSを導入することでSaaS同士を連携させて部門間でデータを共有できるようになる。例えば「営業支援SaaSで管理しているデータを販売管理SaaSに提供し、営業の進捗から見積もり、代金請求まで一気通貫で管理する」などといった仕組みを容易に構築できる。ビジネスチャットとの連携やワークフローの作成も容易なため、最近では働き方改革のツールとしても関心を集めている。

RPAと連携できるサービスも

 iPaaSの中でも著名なのは米ザピアーが開発したZapierだ。1000以上のSaaSと連携しており、それらを組み合わせてワークフローを自動化できる。複数のアプリをつなげたワークフローはZapと呼ばれ、既に多数のZapが登録されている。「特定の顧客から来たメールをGoogleのスプレッドシートに転記する」などといったユーザー独自のZapは、Zapier画面の指示に従って設定すれば簡単に作成できる。

 Zapierが個人利用も想定しているのに対して、2018年から日本で事業を展開している米ワーカートのWorkatoは企業利用に特化したiPaaSだ。連携できるSaaSは300以上で、オンプレミスのシステムやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)との連携機能を強化している。

 米国で開発されたiPaaSは、日本のSaaSとの連携が弱い。日本発のものとして著名なのはAnyflowだ。サービスと同名のスタートアップ企業が開発したiPaaSで、会計ソフトのfreeeなど日本のSaaSにも対応した。プログラミング不要で複数のSaaSをつなぎ、定型業務を自動化できる。