ユーザーが最初から適切にアプリケーションを使いこなせる状態を整えることを指す。日本語では「デジタル定着」などと訳される。

 一般に、企業が新たな業務アプリケーションを導入した際は、従業員が操作に慣れるまで一定の時間がかかる。導入当初は入力ミスをしたり、担当部門に問い合わせが殺到したりといった状況に陥りやすい。この問題を解消するのがデジタルアダプションだ。ユーザーがスムーズにアプリケーションの利用を始められるよう支援するソフトウエアやサービスが登場し、近年注目を集めている。

 提供ベンダーによって細かな仕様は異なるが、Webベースのアプリケーション画面の上に仮想レイヤーを1枚重ね、その上からガイダンス画面を表示するといった方法が主流だ。Webブラウザーで動く業務システムなどへ幅広く対応できる。

 ユーザーが利用するアプリ上に吹き出しのようなポップアップメッセージを表示させ、リアルタイムに操作ガイダンスを出したり、入力指示のヒントを出したりする。一部の情報を自動入力する機能を備えるソフトウエアもある。

 ガイダンス画面は企業のシステム管理者などが用意する。ガイダンス画面を設定したWebアプリケーションに社員がアクセスするとガイダンス画面が配信・表示される。ユーザーのパソコンのWebブラウザーにプラグインをインストールする必要があるものの、元のWebアプリケーションの改修は必要なく導入のハードルは高くない。

2025年までに70%の組織が導入

 グローバルでは米ウォークミーや米ワットフィクスなどが市場をリード。国内ではマニュアル作成のテンダやスタートアップ企業のテックタッチなどがサービスを手掛ける。ウォークミーも2019年に日本法人を設立して国内市場に参入している。

 調査会社の米ガートナーは「2025年までに70%の組織がデジタルアダプションソリューションを使用する」と予測する。ガートナージャパンの志賀嘉津士ソーシャル・ソフトウェア&コラボレーション担当バイスプレジデントアナリストは「日本は米国などと比べて従業員のデジタルスキルが低く、教育も遅れている。デジタルアダプションソリューションはこの問題を解消する有力な選択肢の1つであり、日本市場は特に受け入れられやすいのではないか」と話す。

 志賀氏が2021年9月に日本企業約400社を対象に実施したアンケート調査では、デジタルアダプションソリューションを既に採用済みの企業の割合は13.8%。「まだ(デジタルアダプションの)認知度は低いが関心は年々高まっており、日本企業も2025年までに70%近くまで(採用率が)伸びるだろう」とみる。

 調査会社のアイ・ティ・アール(ITR)も2021年10月に国内のデジタルアダプション製品の市場規模の予測を発表。2020年度の市場規模は4億円にとどまるが、参入ベンダーの増加に伴い市場が拡大し、2025年度には市場規模が40億円に達すると予測する。