クラウド上に用意した仮想的なパソコンのデスクトップ環境をネットワーク経由で提供するサービス。データセンターのサーバー上に構築した仮想マシンでデスクトップ環境を稼働させ、利用者のクライアント端末に画面情報を送信する。新型コロナウイルスの影響でテレワークを導入する企業が増える中、情報漏洩の対策がしやすいリモートワークの手段として利用が急速に広がっている。米ガートナーの調べでは、2019年に6億1600万ドルだったDaaSの市場規模は2022年には約4倍の25億3500万ドルに拡大する見通しだ。

クラウド大手が台頭

 DaaSが登場した当初、国内ではデータセンターを所有する通信事業者やITベンダーなどによる提供が主流だったが、最近では米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)や米マイクロソフトといった大手クラウドベンダーが、初期費用の安さや自社サービスとの親和性などを武器に勢力を拡大している。例えばAWSの「Amazon WorkSpaces」は初期費用が無料で、Windowsのデスクトップ環境を東京リージョンで利用する場合の月額料金は1ユーザー当たり34ドルからだ。同社のクラウドストレージサービス「Amazon WorkDocs」によるファイル共有などの仕組みも容易に構築できる。

 一方、マイクロソフトが2019年に始めた「Windows Virtual Desktop」も、Windowsやオフィスソフト「Microsoft 365」のライセンスがあれば利用料を抑えられるほか、Microsoft 365やID管理システム「Active Directory」といった同社製品との親和性の高さから採用企業を増やしている。

 DaaSはサーバーの仮想化ソフトで複数の仮想デスクトップ環境を稼働させる。Windows Virtual Desktopなど一部のサービスを除き、基本的にクライアント端末1台につき1つの仮想デスクトップ環境を用意する。それぞれの仮想デスクトップ環境にOSや業務アプリケーションをインストールしておくと、利用者はクライアント端末からこれらを利用できる。OSや業務アプリはサーバー上で動作するが、利用者にはクライアント端末上で動作しているように見える。

 DaaSを導入するメリットの一つは、クライアント端末にアプリや業務データを持たせずに済むことだ。デスクトップ環境での作業はすべてサーバー側で処理されるため、クライアント端末に作業データなどを保存できない設定にしておけば、万が一、クライアント端末を紛失しても情報漏洩を防げる。

 VDI(仮想デスクトップ基盤)との違いは、サービスを提供する基盤にある。VDIは導入企業が自前でサーバーを構築・運用し仮想デスクトップ環境を稼働させる。これに対してDaaSは、サービス事業者が提供するサーバーやOSを使用でき、導入企業はハードウエアなどの初期投資を抑えられる。導入後のハードの運用やOSのバージョンアップ、セキュリティーパッチの適用などもサービス事業者が行うため、導入企業は仮想デスクトップ環境の利用に専念できる。