ブロックチェーン(分散型台帳)技術を使い「唯一無二の本物」と証明可能にしたデジタル資産のこと。非代替性トークンとも呼ばれる。デジタルで作成した音楽や絵画などのデータは一般にコピー可能だが、NFTにひも付けることで所有者の情報を明示できる。

 仕組みは取引データをブロックチェーン上で管理するビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)と似ている。NFTの場合は「トークンID」と呼ぶ固有のIDにデジタルデータの作成者、所有者などの情報をひも付けたデジタル資産を発行し、その取引データをブロックチェーン上で管理する。改ざんが困難というブロックチェーンの特徴を生かし、所有者情報などの真正性を保証する。

「初ツイート」やNBA動画が高額取引

 NFTが注目され始めた理由の一つは、2021年に入ってデジタルアートなどが数億~数十億円という高額で取引されるケースが相次いだためだ。米ツイッターの創業者、ジャック・ドーシーCEO(最高経営責任者)が2006年3月21日に投稿した「初ツイート」はNFTとして競売にかけられ、約291万ドル(約3億円)もの高額で落札され世界を驚かせた。

 NFTが対象とする範囲は広く、画像や文字データに加え、音楽や動画も対象になる。例えば米プロバスケットボールNBAは2020年10月に「NBAトップショット」というNFT化した動画コンテンツを売買するサイトを開設した。有名選手の試合での短いプレー動画をトレーディングカードのように売買でき、数百万から数千万円の高値が付くものも出てきている。

 NFTの広がりをビジネスチャンスと捉えて、事業に参入する国内企業が相次いでいる。コインチェックが2021年3月24日に提供を始めた「Coincheck NFT(β版)」は、NFTを売買できるサービスだ。4月2日にはメルカリが暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画・開発を行う子会社「メルコイン」の設立を発表。NFTの取引も視野に入れる。LINEやGMOインターネットグループもそれぞれNFT事業への参入を表明した。

 市場拡大が見込まれるNFTだが、リスクを指摘する声もある。一つは、「デジタルデータの所有者以外がデジタルデータをNFTとして登録、出品し、勝手に販売するリスクがある」(日本ブロックチェーン協会の峯荒夢アドバイザー)ことだ。このほか、悪意のある第三者が実在する販売サイトに成りすまし、NFTや暗号資産の取引に必要なデータを詐取することもあり得るという。

 出品者の本人確認を厳格にしたり、成りすましサイトの存在を注意喚起したりするなど、出品を受け付ける事業者の対応が欠かせない。消費者も取引相手や取引サイトに疑わしい点がないか確認するなど自衛が必要だ。

 NFTがゲームやアートなどのデジタルコンテンツにおいて、新ビジネスの可能性を生み出していることは間違いない。一方で、政府や事業者によるルール整備が遅れれば、リスクが顕在化して混乱を招き、NFT離れが起きる可能性も否定できない。