AIOpsは情報システムの運用にAI(人工知能)を活用する手法を指す。複数のデータソースに対し、機械学習や自然言語処理技術、分析アルゴリズムなどを適用。システム障害やマルウエア感染などの異常を検知し、即座に管理者への通知や自動対応をすることで、システム運用の効率や俊敏性を高める。

 AIOpsは従来のシステム運用管理ツールなどとAIを組み合わせる。データソースはネットワーク、サーバー、OS、ミドルウエア、アプリケーションなど様々なレイヤーが対象だ。まずシステムを監視し、ログやCPU使用率を管理する。

 障害やその予兆を検出すると、障害の原因および緊急度を分析。必要に応じて担当者へのアラートメールや、ログの採取といった一次対処を自動処理する。AIが過去の類似事象などを基に障害復旧の方法を検討し、運用担当者にリコメンドする。

 従来は人間でなければ難しかった作業もAIが支援する。例えば、事前設定したしきい値の範囲内でも、挙動が通常と異なれば障害の予兆と判定する。平時は稼働状況の分析リポートを月次や週次で自動作成する。

 「2016年ごろからAIOpsという言葉が出始めた」とガートナーの阿部恵史リサーチ&アドバイザリ部門インフラ&オペレーションズITオペレーション担当シニアディレクターアナリストは話す。ビッグデータ分析用ソフトウエアを手がける米スプランクやアクセスログ解析ツールを提供するオランダのエラスティック、米IBM、国内企業では日立製作所などがAIOpsサービスを提供している。

 阿部シニアディレクターアナリストによると、2018年から2019年にかけて「新たに日本市場へ参入した外資系ベンダーも増えた」という。APM(アプリケーション性能管理)やITSM(ITサービス管理)、ITOM(IT運用管理)など特定の用途に特化した製品も登場した。

経営層と運用現場の双方から要望

 AIOpsが注目されている背景に、経営層と運用の現場それぞれのニーズがある。経営層は「IT運用にかかるコストを削減したい」「熟練者に依存したIT運用からの脱却したい」と考え、現場は「障害が起きた際の初動を迅速化したい」と要望するといった構図だ。

 日立製作所はIT運用最適化サービスの機能として、AIを活用したIT運用自律化支援ツール「AI for IT Operations」を2018年から提供している。同社の黒瀬秀人IoT・クラウドサービス事業部運用マネジメント本部システム管理サービス部主任技師は「2018年時点では判断や一次対処の自動化までAIを導入する企業は少なかった」。近年は一転、金融や製造業など幅広い業種から引き合いがあり「構築中や導入済みの企業が増えている」と話す。

 ガートナーの阿部シニアディレクターアナリストは「まだ国内の利用顧客はわずかだが、今後市場は大きくなる」とみる。近年増加・成長傾向にあるクラウドネーティブ企業やEC(電子商取引)事業者、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の提供企業を中心に、導入が拡大すると予測する。