DX(デジタルトランスフォーメーション)に本格的に取り組む企業が増える中、ITインフラにクラウドの波が押し寄せている。DXにはクラウド環境を駆使した素早いITインフラ構築が欠かせないからだ。こうしたクラウドを活用したインフラ構築が全盛となる今、エンジニアが2020年に注目すべきITインフラ技術は何だろうか。トレンドを押さえれば時流に合ったシステム構築が可能になる。そこで日経BPは2019年10月28日、5人の有識者を招き「ITインフラテクノロジーAWRAD 2020」の審査会を実施。2020年にブレークする技術を選んだ(写真1)。

写真1●審査会の様子
左から石田裕三氏(野村総合研究所 上級アプリケーションエンジニア)、漆原 茂氏(ウルシステムズ 代表取締役社長)、佐藤一郎氏(国立情報学研究所 情報社会相関研究系 教授/所長補佐)、新野淳一氏(Publickey 編集長 /Blogger in Chief)、森 正弥氏(楽天執行役員 楽天技術研究所代表)
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開発プロセスにもクラウドの波

 グランプリに選ばれたのは「クラウドネイティブ」である。ITジャーナリストの新野淳一氏は「2020年は開発プロセスを含む広義のクラウドネイティブを本格適用する年になる」と予想する(図1)。

図1●クラウドネイティブがシステム開発の標準に
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 一般にクラウドネイティブはコンテナやマイクロサービスといったアーキテクチャーを活用したシステム構築を指す。新野氏はこれらのアーキテクチャーに加えてテスト自動化の仕組みやCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)など開発プロセスまでをクラウドネイティブに含むものと定義した。

 クラウドの潮流がITインフラと開発プロセス、ツールに及び、アプリケーションやサービス開発の生産性向上が進む―。こうした開発プロセスを含む広義のクラウドネイティブが審査員の満場一致でグランプリに選ばれた。

 ウルシステムズの漆原茂代表取締役社長はクラウドネイティブが加速すると「フルサーバーレスの取り組みが本格化する」と予想する。フルサーバーレス環境はエンジニアがアプリのコードさえ準備すれば自動的にサーバーが立ち上がり、アプリが稼働する。エンジニアはアプリ開発に専念できる。

 審査会では2位に「5G(第5世代移動通信システム)」、3位に「サイバーセキュリティー」が選ばれた。次ページから審査会で上位に選ばれた技術とノミネートされた技術を詳しく見ていこう(図2)。

図2●ノミネート技術の一覧
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