DXの現場では各メンバーがそれぞれの個性、つまり能力を発揮して共通のゴールを目指していく。ここで大事なのが「突出力」だ。

 DXの現場ではAIやクラウドなど相次いで登場する新技術や新サービスを使いこなす一方、新しい顧客やビジネスを創出する必要がある。これらを1人でこなす「スーパーITエンジニア」は滅多にいない。

 そこでDXの現場では「1人がすべての領域をカバーできないことを前提に、特定の分野に強い専門家同士が相互に補完しながらシステムを構築していく必要がある」と、パッケージソフトを開発するシステムインテグレータの梅田弘之社長は話す。

 突出した得意分野を持つITエンジニア同士が相互に補完し合うわけだ。逆に言えばDXの第一線の現場で輝くITエンジニアになるには、1人ひとりに高い専門性が求められる。その専門性の結集によって、開発現場そのものが輝く。

第一線の現場で輝く「突出力」
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技術力ではなく専門力

 DXの現場でより活躍するためにITエンジニアに求められるのは、DXプロジェクトで頻繁に利用される領域で不可欠な突出した専門性である。

 ここでいう専門性とは「1つのプログラミング言語に長けているといった『技術力が高い』という意味ではない」と梅田社長は説明する。それよりも、例えばクラウドであればAmazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azure、Google Cloud Platformなどのサービスを問わず「必要な機能を見つけられる」といった目利きが可能な力を指す。「AWSに詳しい」だけでは突出した専門性にはならないというわけだ。

 「以前の業務システムの開発の場合、プログラミング言語はJava、データベースはOracle Databaseのように王道があった」と梅田社長は振り返る。一方でDXにおけるサービス開発ではAIやクラウドサービス、Webフロントエンドなど、開発するサービスごとに様々な技術を使う。

 すべての技術を習得するのは難しい以上、何か1つの技術の専門家になることでDXの現場に参画し、活躍できるようになる。注意が必要なのはデジタルの現場で求められる専門性は、「業務だけでは身につかない」(梅田社長)ということだ。プロジェクトごとに利用する技術か変われば、業務を通じて1つの技術を磨く時間は短くなる。勉強会への参加や自習を通じて、専門性を高めることが必須だ。

 ITエンジニアだけでなく「プロジェクトマネジャーの役割も専門領域によって分業している」とTISの高島玲サービス事業統括本部ペイメントサービス事業部ペイメントサービス企画部シニアプロデューサーは話す。高島シニアプロデューサー自身がマネジャーを務めるプロジェクトの場合、これまで担っていた計数管理は得意な補佐に任せ、自分はメンバーの支援に専念するといった体制を構築している。「DX関連のプロジェクトは複雑。プロジェクトマネジメントの領域も専門化が始まっている」と高島シニアプロデューサーは話す。

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