本連載では、アイ・ティ・アール(ITR)が毎年実施している「IT投資動向調査」の調査結果を担当アナリストが読み解き、国内企業のIT投資の現状や重視するIT戦略、2020年度に特に投資意欲の高い製品・サービス分野を解説する。第1回は、「国内企業のIT投資の傾向と新規投資の目的」について解説する。

(出所:123RF)

堅調ながら勢いに陰りが見えるIT予算額

 ITRは国内企業のIT投資の意思決定に関わる役職者を対象とした「IT投資動向調査2020」(有効回答数2826件)を2019年8~9月に実施した。まず、国内企業の2019年度(2019年4月~2020年3月)のIT予算額の増減を見ると、2018年度から増加した企業の35%で、減少した企業が8%となった。

 2020年度(2020年4月~2021年3月)に向けて、2019年度の実績から10%以上の大幅な増加を見込む企業は2ポイント減少していた。一方で20%未満の減少を見込む企業は2ポイント増加している。大半を占める「10%未満の増加」および「横ばい」を見込む企業は、前年度からの変化は見られなかった。

 このIT予算の増減傾向を指数化したIT投資増減指数(20%以上の減少を「-20」、10%から20%未満の減少を「-15」、10%未満の減少を「-5」、横ばいを「0」、10%未満の増加を「+5」、10%から20%未満の増加を「+15」、20%以上の増加を「+20」として積み上げて回答数で除した値)の経年変化を示したものが図1である。2019年度の実績値は2.62となり、2014年度以来5年ぶりに前年調査時の予想値(2.68)を下回る結果となった。

図1●IT投資増減指数の経年変化(2001~2020年度予想)
出典:ITR「IT投資動向調査2020」
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 加えて、2019年度調査では実績値(2018年度と19年度を比較)が0.1ポイント、予測値(2019年度と20年度を比較)が0.5ポイント、それぞれ18年度調査から下がっている。2015年度以降、実績値と予測値はどちらも上昇していたが、その傾向に歯止めがかかった格好だ。これらの結果から、国内企業のIT予算は堅調な増加傾向にあるものの、その勢いには陰りが見え始めたといえる。

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