本連載では、ITR(アイ・ティ・アール)が実施した「IT投資動向調査」を担当アナリストが読み解き、国内企業のIT投資の現状や重視するIT戦略、投資拡大が見込まれる有望な製品・サービスの動向を解説している。

 今回からは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ITRが2020年4月下旬に実施した緊急調査の結果をシリーズで解説する。その1回目は、コロナ禍が国内企業のIT戦略に及ぼす影響、感染拡大後に各社が実施した緊急施策を取り上げる。

(出所:123RF)

活動自粛下のIT担当者の本音とは

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大は、世界規模で人々の生活様式の抜本的な転換を促した。外出や移動の制限のほか、教育機関や飲食店、娯楽施設の閉鎖といった緊急措置が、各地で講じられている。

 政府が東京をはじめとする7都府県に緊急事態宣言を発令した4月7日以降、国内の多くの企業が経済活動の自粛を始め、従業員の一時帰休や在宅勤務などの施策を実行に移した。緊急事態宣言は5月下旬に解除され、企業の経済活動も徐々に戻りつつあるが、新型コロナウイルスの感染が再拡大する「第2波」への警戒は続いている。

 経済活動の収縮に伴う、大幅な景気後退が懸念される一方で、事業継続にあたってのITの役割が改めてクローズアップされている。企業のIT投資の方向性にも、大きな変化が生じている可能性が高い。

 ITRは、今回のコロナ禍が企業のIT戦略にどのような影響を及ぼすかを分析するため、緊急調査を実施した。2020年4月24日から同月27日にかけて、国内企業でIT戦略の策定やIT実務に携わる担当者を対象にした調査で、1370件の有効回答を得た。

コロナ禍を受け「デジタル化を加速する」と考える企業は7割強

 調査ではまず、4月7日の緊急事態宣言発令に伴う経済活動の自粛が、自社のIT戦略の遂行(デジタル化の進展)にどのような影響を及ぼすか聞いた。結果は、自社のIT戦略が「大いに加速すると思う」とした企業は27%に上っていた。「やや加速すると思う」(44%)とした企業と合わせると、7割以上が、経済活動の自粛がIT戦略遂行を加速させる要因になると考えていることが明らかとなった。

 図1は、回答結果を業種別に集計したものだ。サービス業で「加速」の割合がやや低いものの、いずれの業種でも「加速」が「減速」を大きく上回っている。

図1●新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動自粛が自社IT戦略の遂行に及ぼす影響(業種別)
出典:ITR「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」(2020年4月)
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