本日から当面は、出社せず自宅で仕事をするように――。新型コロナ対策のため日本企業でこんな社内通達が相次ぎ、一斉にテレワークが始まった。ただしにわか仕込みのテレワークだけに、悪気なく「禁じ手」を繰り出す上司が少なくない。実際の話をベースにした架空ストーリーを通じて、テレワークの禁じ手を解説する。

 「企画書の進ちょくは順調ですか?予定通り午後2時に見られますか?」

 都内の大手製造業のIT部門に所属する中堅システムエンジニア(SE)のタナカさんは、上司のオノ課長から送られてきたテキストチャットのメッセージを見て「またかよ、困っていたらこっちから連絡するのに…」とうんざりした表情を見せた。

(出所:PIXTA)

 オノ課長は普段から部下の仕事を細かく管理する「マイクロマネジメント」型の上司だ。部下の自主性を重んじて任せるというよりも、日ごろからこまめに声がけをして一人ひとりのタスクの状況を把握し手を打っている。ある意味で面倒見がよく、タナカさんはオノ課長に相談して助けてもらったこともしばしばある。

 しかし急きょ全社で始まったテレワークで、タナカさんはオノ課長にストレスを感じるようになっていた。オノ課長のマイクロマネジメントが激しくなったためだ。

 オノ課長は毎朝10人の部下一人ひとりに、テキストチャットで1日のタスク目標を提出させるようになった。タナカさんは「若手扱いかよ」と不満を感じつつも「オノ課長はきっちり管理したいタイプだから仕方がない」と割り切った。

 ただし我慢できないのは冒頭のようにテキストチャットを使って、頻繁に進ちょくを聞いてくることだ。ひどいときは30分おきにメッセージが送られてくる。

 タナカさんはそのたびに仕事の手を止めて「今のところ予定通りです」と返信した。煩わしいうえに「これまでだって任せてくれたんだから、テレワークならなおのこと信用してくれてもいいだろう」と腹立たしく感じた。

 オフィスで仕事をしていたとき、オノ課長は部下の席を歩き回って声がけしていた。それがテレワークでテキストチャットに置き換わっただけという見方ができる。しかしテレワークではオノ課長は部下の様子が分からないこともあって、手当たり次第に進ちょくを聞くようになった。「今のところ予定通りです」のようなぶっきらぼうな答えしか返ってこないので、余計に心配になってメッセージを連発していた。

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