AI(人工知能)などの先進技術を活用してデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現するには、テクノロジー企業との連携が重要になる。特に金融業界では、数年前からベンチャーのFinTech企業などと共にオープンイノベーションで新しいサービスを開発する動きが活発だ。

 損害保険大手の東京海上日動火災保険も国内外のベンチャー企業との連携によりDXを推進しようとしている1社である。

 例えば、英国のAIベンチャーであるトラクタブル(Tractable)と提携し、2020年4月から自動車事故の修理見積もりの確認業務にAIを試験的に活用し始める。自動車の損傷箇所の画像をAIに読み込ませ、見積もりの妥当性を判定させる。「AIによる判定が有効であると実証できれば、保険金の支払いを早められる」と東京海上ホールディングスの前川純一事業戦略部デジタル戦略室アシスタントマネージャーは言う。

東京海上ホールディングスの前川純一事業戦略部デジタル戦略室アシスタントマネージャー

 国内でもベンチャー企業との提携を進めている。2019年6月にはAIを活用した健康アドバイスアプリ「カロリーママ」を提供するリンクアンドコミュニケーションや、医療情報プラットフォーム「Medical Note」を運営するメディカルノートと業務提携した。これらの企業と共に東京海上はヘルスケア関連の新サービス開発を進めている。

 これらベンチャー企業とどのようにして協業するのか。その初期フェーズの進め方は提携先の企業ごとに異なる。しかし、ここ数年手掛けてきた東京海上日動火災保険には大まかな進め方の流れがある。その流れとは、「情報収集」「詳細調査」「PoC」「提携」「テスト導入」「本格導入」の6段階だ。

東京海上日動火災保険がオープンイノベーションを進める際の大まかな手順
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 ベンチャー企業と協業する際、相乗効果を生み出せる相手先企業をいかにして発掘するかが最初の課題になる。このために必要なのが情報収集だ。東京海上日動火災保険ではデジタル部門が国内外のテクノロジー企業の動向をウオッチする。特に海外企業については、世界5拠点に設置した「Tokyo Marine Innovation Lab」が主体となって情報を集める。同Labは東京、米シリコンバレー、シンガポール、英ロンドン、台北に設置済みだ。

 各地のLabでは「現地のベンチャー企業が所属するエコシステムに入り込む」と前川アシスタントマネージャーは説明する。具体的には、ベンチャーキャピタル(VC)やアクセラレーター、大学などと提携し、ベンチャー企業の情報を得る。

 提携したVCには、米プラグアンドプレー(Plug and Play)や米WiL、日米に拠点を置くDNXベンチャーズなどがある。特にシリコンバレーには2016年から拠点を設置しており、現地のVCや大学などとの深い関係を作っている。

 現地のLabが有力なベンチャー企業を見つけると、直接会いに行ってその技術力などを調査する。自社グループの事業と相乗効果を出せると現地の担当者が判断すると、関連する事業部門にベンチャー企業を紹介する。

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