「クラウドの利用コスト削減策では、サーバーレスが本命」。野村総合研究所 マルチクラウドインテグレーション事業部の遠山陽介GM(グループマネージャー)はこう話す。「AWSの利用料金の削減が期待できるだけでなく、サーバーを維持管理する費用を削減できる効果が大きい」。

 サーバーレスとは何か。アマゾン ウェブ サービス ジャパン 事業開発本部 プラットフォーム事業開発本部 本部長の大久保順氏は「サーバーレスはユーザーがサーバーを立てる手間なく、必要な機能が使える。処理の増減に応じてキャパシティーを見積もる必要もない」と説明する。

 AWSのサービスでは、イベント駆動型コード実行「AWS Lambda」、オブジェクトストレージ「Amazon S3」、NoSQLデータベース「Amazon DynamoDB」などがサーバーレスのサービスに当たる。

 AWSのコスト削減策を考えたとき、仮想マシンサービス「AWS EC2」についてはリザーブドインスタンスやスポットインスタンスなどの利用で料金は抑えられる。これに対してサーバーレスは、EC2の調達やミドルウエアの導入、運用などを不要にする。クラウドネイティブな手法で開発効率も上げられるなど、システムのライフサイクル全般にわたるコスト削減策だ。

 ただしサーバーレスには利用上の注意点がある。クラウド独自のサービスを使うため、既存のシステムやアプリをそれに合わせて改修する必要がある。もう1つ、クラウド独自のサービスにロックインされるリスクも考えどころだ。仮想マシンにはないメリットが得られるサーバーレスに踏み込むか否か、まずは自社の方針を固める必要がある。

EC2からLambdaに移行してコスト削減

 サーバーレスの代名詞といえるのがLambdaだ。データの格納やメッセージ到着といったイベントをトリガーに、Node.jsやPython、Javaなどであらかじめ書いておいたコードを実行してくれる。処理の裏では、AWSがコンテナやランタイムなどを手当てするが、ユーザーはそれを意識する必要がない。イベントとコードを用意すれば機能が実装できるわけだ。

 Lambdaは実際の処理時間にしか課金されないため、立ち上げっぱなしのEC2に比べてコスト効率が高い。これに目を付け、従来はEC2上のアプリで行っていた処理の中で、処理時間の短いものなどをピックアップし、Lambdaに移行して効率化を図るユーザーは少なくない。

 Lambdaの利用では実行時間の制限に注意する必要がある。現行、1回当たりの実行時間は最長15分だ。この上限があるため、Lambdaの用途はこれまで軽いものが多かった。S3に写真が投入されたのをトリガーにサムネイルに加工したり、伝票の到達をトリガーに重複チェックしたりといった具合だ。

 ところがここにきて、Lambdaをはじめとするサーバーレスのサービスを組み合わせ、バッチ処理の大幅な効率化に成功したユーザーが現れた。ネット広告技術の開発/コンサルティングなどを手掛けるFringe81だ。

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