「ビデオ通話の画面越しであっても表情や顔色などから患者の体調が想像以上によく分かって驚いた」――。みくに内科眼科クリニックの三國盛夫院長はオンライン診療の感想をこう話す。新型コロナウイルス感染症の院内感染を防ぐため、2020年3月初旬にMICINのオンライン診療システム「curon(クロン)」を導入。ビデオ通話を利用して1カ月間で60人ほどの慢性疾患の患者を診療して薬を処方してきた。

オンライン診療を実施する三國盛夫院長
(出所:みくに内科眼科クリニック) 

 三國院長は今後、さらにオンライン診療を増やしていく方針だ。新型コロナウイルスの影響でクリニックに来院する患者数が激減していることが背景にある。みくに内科眼科クリニックは通常1日に100人以上の患者を診察するが、4月に入ってからは来院する患者が通常時の40%から50%まで減った。

 「これまでは昼休みなどの時間外でオンライン診療を実施してきたが、4月10日から診療時間内でのオンライン診療を始めた」(三國院長)。特に高齢の患者にはオンライン診療を勧める冊子を渡して周知している。新型コロナウイルスの影響で街のクリニックなど医療現場が大きく変わり始めた。

特例措置で問い合わせが急増

 医療機関と薬局がオンライン診療と服薬指導を活用する契機となったのは、厚生労働省が2020年2月28日に公表した事務連絡「新型コロナウイルス感染症患者の増加に際しての電話や情報通信機器を用いた診療や処方箋の取扱いについて」だ。慢性疾患などの患者を対象に、「医師が電話やオンライン診療で常用薬の処方箋を出すこと」と「薬剤師がオンライン服薬指導を実施すること」を一時的に認めるとした。

 事務連絡を受けてオンライン診療システムを提供する複数の企業が即座に動いた。MICINは3月10日、東京都内の患者に対して同社の「curon(クロン)」を利用したオンライン診療と服薬指導が実施されたと発表。続いて3月12日には、メドレーが調剤薬局を運営する3社(アインホールディングス、クオール、日本調剤)と連携し、同社の「CLINICSオンライン診療」の導入を推進すると発表した。

 オンライン診療は2018年度から保険適用されており、既に複数の企業がクリニックにシステムを提供している。しかし新型コロナウイルスがまん延する以前は、保険適用の条件が厳しくオンライン診療は限られた市場とみなされていた。オンライン服薬指導については国家戦略特区での実施に限られており、改正医薬品医療機器等法(薬機法)の施行を受けて2020年9月に解禁される予定だった。

 それが事務連絡によって状況が一変。オンライン診療のシステムを提供する企業は「医療機関からの問い合わせ件数が倍以上になった」(メドレーのCLINICS事業部長の田中大介氏)とうれしい悲鳴を上げる。

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