ITの技術革新により、従来のビジネスモデルを変革する新規参入者が次々と登場している。事業を取り巻く環境変化も著しい。企業は競争力維持のため、デジタルトランスフォーメーション(DX:Digital Transformation)を積極的に進める必要がある。

 DX時代の情報システム開発は、従来と異なる部分が少なくない。例えばこれまで企業の成長戦略は、3~5年程度のスパンで現状を改善する積み上げ型のアプローチで策定されることが多く、ITアーキテクチャーも既存の延長で検討されてきた。

 一方、DX時代には「まったく新しい技術の誕生に伴うビジネスモデルの劇的変化」など、非連続な環境変化が起こり得る。10年程度の長期的な時間軸で未来の大きなビジョンを描くことが求められるのだ。ITアーキテクチャーに関しても、未来から逆算して現状とのギャップを明らかにし、そのギャップを埋めるために必要なものを計画的に検討・導入する必要がある。

 とはいえ、自社システムにおいてDX推進のために整理すべき事項や要検討の技術は多岐にわたる。そもそも何を検討すべきか、DXをどう進めたらいいか分からない人もいるだろう。

 そこで本特集ではこれまでのITアーキテクチャーの変遷、現在の企業情報システムの特性などをおさらいしながら、DXに向けて何が必要かを整理していく。通読すれば、DX時代に企業の情報システムに求められるITアーキテクチャーの全体像が分かるはずだ。

変遷を理解した上で、DXを考える

 DX時代に目指すべきITアーキテクチャーの方向性を見定めるために、まずは1980年代からのITアーキテクチャーの変遷を振り返ってみよう。これまでの経緯を知ることで、自社システムがなぜ現状のような形になっているかを理解できる。今後どのように変化していくかを考える手がかりにもなるだろう。

 ITアーキテクチャーは時代ごとの経営戦略、ビジネスニーズ、有効な要素技術によって変化し続けている。システム形態ごとに変遷の歴史をまとめたのが下の図だ。

企業情報システムの形態の変遷
(出所:野村総合研究所)
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 1980年代末までのメインフレーム時代は、手作業の機械化が主目的だった。ユーザーはスタンドアロンの端末で、ワープロや表計算といったソフトを利用していた。

 1990年代になるとオープン化(脱メインフレーム)の動きが進み、クライアント・サーバー型システムが普及する。業務の効率化や高速化が図られるようになり、Webサイト閲覧やメール利用も一般化し始めた。

 2000年代はインターネットの普及によって、企業情報システムのWeb化が進んだ。情報システムの役割はより高度化し、顧客との接点構築や経営情報の分析などを担うようになった。

 そして2010年代から今にかけて、クラウドの積極的な利用が加速している。情報システムには、事業創造や事業のインフラといた重要な役割が期待されるようになっている。

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