(出所:123RF)
(出所:123RF)

 ビデオ会議が、日本企業に急速に浸透した。テレワークの必需品ともいえるビデオ会議だが、その利用形態や機能の理解が遅れている企業も存在する。複数あるサービスから、最適なものを選択する視点も欠かせない。

 本記事ではビデオ会議とは何か、その一般的な利用形態やメリットとデメリット、基本的な機能、料金相場、活用のポイントを、ネットワーク分野に詳しいGMOインターネットの新里 祐教氏が解説する。併せて、日経クロステックActiveの記事から、代表的な製品、事例などをまとめて紹介する。

初回公開:2021/12/20

目次

1. ビデオ会議とは
2. ビデオ会議の利用形態
3. ビデオ会議を導入するメリットとデメリット
4. ビデオ会議の基本的な機能
5. ビデオ会議の代表的なサービスと料金相場
6. ビデオ会議のサービス
7. ビデオ会議を活用する上でのポイント
8. ビデオ会議の代表的な事例
9. 注目のビデオ会議と関連サービス
10. ビデオ会議の新着記事

*「1. ビデオ会議とは」「2. ビデオ会議の利用形態」「3. ビデオ会議を導入するメリットとデメリット」「4. ビデオ会議の基本的な機能」「5. ビデオ会議の代表的なサービスと料金相場」「7. ビデオ会議を活用する上でのポイント」は新里 祐教氏が執筆

1. ビデオ会議とは

 新型コロナウイルス感染拡大を経た今、ビデオ会議を活用したテレワークは多くの企業で日常的なものになった。情報通信白書令和3年(2021年)版によると、2020年3月の緊急事態宣言発令の後に企業のテレワーク実施率は倍増し、最も多いときに大企業で83%、中小企業で50%がテレワークを実施していた。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 本稿で「ビデオ会議」は、パソコンなどの端末からインターネット回線を利用して実現する、動画/音声を使った双方向の会議アプリケーション/サービスを指す。端末が搭載するカメラやスピーカー(あるいは外付けのカメラやヘッドセットなど)から、簡単にオンラインで会議や商談を実現する機能を提供するほか、画面の共有や録画などビジネス向けの機能も備えている。テレワークの必要性が高まる中、遠隔地にいるビジネスパーソンを結ぶ仕組みとして、企業での導入が広がっている。

 ビデオ会議の多くは、スマートフォンやタブレットにも対応しており、アプリを使うことでパソコンがない状態でも利用できる。また、Webブラウザーで利用できるものがほとんどであり「Web会議」と呼ばれることもある。

 これまでにも高性能のカメラやスピーカーをはじめとする装置や会議室、回線など専用の環境を用意してオンラインで会議を実現する仕組みはあったが、これらは「テレビ会議」と呼びビデオ会議とは区別する。さらに「LINE」や「Facebook Messenger」などのSNS・コミュニケーションツールでも、動画/音声を使ったオンライン会議は可能だが、これらは個人向けのサービスとして、本稿では扱わないこととする。

 ビデオ会議ツールはオンラインミーティングへの参加のハードルを下げるため、使いやすさを意識したインターフェースを備えている。筆者も最近はちょっとした相談事があれば、すぐにビデオ会議を立ち上げて話す機会が増えた。従来のテレビ会議に比べて、利用者のいる場所や使う機材の制約を大きく下げ、使い勝手を向上させたところが特徴といえる。

2. ビデオ会議の利用形態

 ビデオ会議には現実の利用シーンに合わせ、(1)会議と(2)ウェビナーという2つの利用形態がある。

(1)会議

  • 通常の会議(ミーティング)を目的とする
  • 複数人が参加し、参加者の役割は基本的にはフラットである
  • 参加者全員が双方向で動画・音声でコミュニケーションする
  • 参加者全員に発言権があり、適宜発言が可能

(2)ウェビナー

  • セミナーや講演を目的とする
  • 1人または複数人の「発言者」と聴衆となる「参加者」に分かれる
  • 発言者から参加者には、原則一方向で動画・音声でプレゼンテーションする
  • 通常は参加者に発言権はないが、発言者などが許せば参加者も発言権を得られる。質問の受付などのため文字チャットでの発言を許す場合もある
(出所:123RF)
(出所:123RF)

 ビデオ会議を利用するための環境は、ほとんどのサービスで次のような形態で提供されている。

(1)ネイティブアプリ

  • パソコン(Windows/Mac)、スマホやタブレット(Android/iPhone)にインストールして利用する。
  • インストールは必要になるが、動作が軽快
  • ビデオ会議の機能をフル利用できる

(2)Webブラウザー

  • Microsoft Edge、Google Chrome、Firefox、Safariといったブラウザーから利用する
  • インストールは不要で、ブラウザーがあれば参加できる(所定のURLからビデオ会議サービスにアクセスする)
  • ネイティブアプリに比べて、使える機能が限られている

 ただし異なる会社間での会議などの場合、会社ごとに推奨するビデオ会議サービスが異なる場合が少なくない。こうしたときに、アプリをインストールするかブラウザーを利用するかは、利用者が選択する。

 自社で利用しているものと異なるサービスを利用する際、パソコンへのアプリのインストールが禁止されていたり、ネイティブアプリをインストールしている時間がなかったりするケースがある。そうした場合でも、Webブラウザーを利用してビデオ会議に参加できる。

ビデオ会議の通信

 ビデオ会議がどのようにルーターで隔てられた複数人の会議を可能にしているのかについて、技術的に整理する。

 ビデオ会議サービスを利用するパソコンやスマホなどは多くの場合、NAT(Network Address Translation)が動作するルーターの配下にあってインターネットと隔てられている。こうした端末同士が通信する際には、NATを越えて通信できる仕組みが必要になる。

 ビデオ会議サービスで使われている方法は2種類ある()。

  1. NATを越えて端末が直接P2P(ピア・ツー・ピア)通信する方法・・・一般的には「NATトラバーサル」と呼ばれる技術で実現する
  2. インターネット上のサーバーを経由して通信する方法・・・リレーサーバー(中継サーバー)と呼ばれるサーバーが、音声・画像や制御データをハンドリングする
図●ビデオ会議サービスで使われているNAT越えて通信する仕組み
図●ビデオ会議サービスで使われているNAT越えて通信する仕組み
[画像のクリックで拡大表示]

 どちらの方法も一長一短だが、サーバーの性能やクラウド側の通信帯域が向上したことでリレーサーバーが効率的にデータを扱えるようなり、2.よりも1.がよく利用される傾向にある。

3. ビデオ会議を導入するメリットとデメリット

 ビデオ会議には、通常の「1つの部屋に集まる」対面会議に比べて大きな違いがある。議題に対して参加者が所定の場所(デジタル空間)に集まって議論するため、対面会議と大きな違いはないと感じるかもしれない。ただし、実際にビデオ会議を経験してみると、メリットとデメリットの両方が見えてくる。

ビデオ会議のメリット

(1)移動が不要

 対面会議では1カ所に集まる必要があったが、ビデオ会議ではネット上に集まる(会議に参加する)だけで済む。参加者の移動にかかるコストと時間、労力を削減できる。

(2)資料の配布・共有が容易

 会議で利用する資料を、画面共有やファイル共有によって簡単に配布できる。参加者の人数分だけ紙の資料を用意する必要がなくなる。

(3)参加者の場所を問わない

 参加者は自宅や外出先のカフェ、出張先やオフィスなど、どこからでも会議に参加できる。職場の会議室などからのオンサイトの参加者と、ネットワーク経由のオンラインの参加者を合わせて会議をするなど柔軟な運用が可能である。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

(4)大規模会議の実現が容易

 ウェビナー形式で数百人単位のセミナーを容易に開催できる。従来のように参加者の規模に合わせた会場の確保が必要なく、受付や誘導も不要になるため、多くの場合でコストを削減できる。

ビデオ会議のデメリット

(1)安定したネットワーク環境が必要

 ビデオ会議では動画や音声をリアルタイムで送受信するため、安定したネットワーク環境が必要になる。ネット環境が安定していないと、画像や音声が乱れて発言が聞き取りにくくなったり、突然のエラーで接続が切れたりする場合がある。

(2)雰囲気をつかみにくい

 画面を通して複数人とコミュニケーションを取ることになるため、意思の疎通や発言のニュアンスの読み取りが難しくなる。逆の言い方をすれば、対面で全員が1カ所に集まって開催する会議では、参加者全員の雰囲気をつかめることがメリットとなる。

(3)ビデオ会議への慣れが必要

 ビデオ会議サービスのユーザーインターフェースは使いやすいものの、ある程度の慣れが必要になる。例えば対面会議では紙の配布で済んでいた資料をオンラインで共有をするといった操作は、参加者が習得しなくてはならない。

 さらにビデオ会議ならではの“常識”にも慣れが必要だろう。複数人が参加するビデオ会議では、発言者の音声を聞き取りやすくするため、発言者以外は音声をミュート状態にして雑音などを流さないなどの配慮が必要になるといったことだ。

 ビデオ会議は急速に広がった仕組みであるだけに、部署や会社単位でサービスの基本的な操作や適切な使い方に慣れておくとよいだろう。

4. ビデオ会議の基本的な機能

 ビデオ会議には参加同士がコミュニケーション取るための「動画/音声/文字チャット」のほかに、ビジネス上の会議で有用な機能が付いている。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

(1)画面共有機能

 自分の手元にある画面を他の参加者と共有する機能。資料を自分のパソコンに表示し、その内容をそのまま他の参加者から閲覧できるようにする。

 資料を使う会議を進める上で、有用な機能といえる。あらかじめ作成しておいた会議資料を共有する以外にも、パソコンの操作で変わる画面をほかの参加者と共有して、イメージを確認しながら作業を進めるときなどにも活用できる。

(2)会議の録画機能

 会議の内容を、音声付きの映像データとして保存する機能。音声の書き起こしや会議に参加できなかった参加者が会議の様子を振り返るオンデマンド視聴などの用途で利用する。現実の会議では会議の録画を残すことは少ないため、ビデオ会議ならではの機能といえる。ただし、ほとんどのサービスで有料となっている。

(3)背景画像・音声フィルター機能

 背景画像は、他の参加者の画面に映る自分の背景を差し替える機能。部屋の様子が映り込むのを防止することで、テレワークなど社外から利用する参加者のプライバシーを保護する。

 音声フィルターは、マイクで拾ったノイズを除去して、参加者の声を聞き取りやすくする機能である。これらの機能は本来の映像/音声をデジタルでリアルタイムに加工することで、参加者の快適なコミュニケーションを実現する。

(4)ブレイクアウトルーム機能

 参加者を少人数のグループに分ける機能。セミナーや会議の参加者が多い場合に、グループ単位での個別会議を設定できる。

 Webセミナーで個別相談用の部屋を設けたり、参加者を少人数のグループに分けてアイディアを出し合ったりするときに利用できる。

 これ以外にもビデオ会議には、「質問したいときに“挙手”する機能」や「音声から字幕を表示させる機能」などがある。ただしビデオ会議で利用する基本的な機能について製品間に大きな違いはない。どのビデオ会議も、利用者が戸惑わずに利用できるように、使いやすい操作インターフェースを用意している。

5. ビデオ会議の代表的なサービスと料金相場

 ビデオ会議で必要になる費用は、機材とサービスの利用料金になる。

 機材としては最低限、パソコンやスマホなどの端末があれば利用できる。カメラやヘッドホン、マイクなどは、必要に応じて用意する。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

 例えば、相手の発言内容を他者に聞かれたくないのであればヘッドホンやイヤホンが、自分の声を明瞭に聞かせたいのであればマイクが必要になる。ウェビナーなどで高画質の動画を配信したい場合は、性能の高いカメラを用意する。

 現在、多くの企業で利用されているビデオ会議としては、Zoom(米Zoom Video Communications)、Microsoft Teams(米Microsoft)、Google Meet(米Google)、Cisco Webex(米Cisco)が挙げられる。

 Google Meetはパソコン向けネイティブアプリが提供されておらず、ブラウザーでの利用が基本になる。それ以外の3サービスはパソコン(WindowsとMac)向けにネイティブアプリが提供されている。

 上記4サービスは、基本的な機能は無料で利用できるため、まず使い勝手を体験するところから始められる。ただし、無料で利用するには、利用人数や利用時間、録画などの付加機能に制限がある。制限の範囲はサービスによって異なる。

 業務で利用する場合は有料版を使うことになるが、料金は使える機能や利用企業のユーザー数によって変わるため、サービス提供元と確認するのがよいだろう。

 利用するサービスの選定は、既に利用しているサービスが大きく影響する。例えばMicrosoft 365 Businessアカウントを業務で利用している場合は、Teamsがアカウントに含まれているため、業務に合わせたビデオ会議サービスの選択をすることになる。

 先ほど挙げた4サービス以外にも有料のビデオ会議サービスは数多く提供さている。サービスを選定する際には、かかる費用と得られるメリットを比較して判断する。

6. ビデオ会議のサービス

 ビデオ会議の例として、日経クロステック Activeの製品データベース「製品&サービス:IT」から5製品を紹介する。

7. ビデオ会議を活用するうえでのポイント

 筆者は上記のビデオ会議サービスを一通り業務で利用してきた。会社によって優先するビデオ会議が異なることが多く、相手を優先するうちにほとんどのビデオ会議サービスを利用することになった。

 一般の企業では、社内会議の場合と外部との会議の場合で、どのサービスを利用するかあらかじめ決めておくべきだろう。

 これ以外に筆者の実経験からビデオ会議を活用するポイントを紹介する。

(1)共有資料・アジェンダを決めておく

 対面会議にもいえることだが、事前に会議で使うファイルを共有しておくほか、説明内容や議事アジェンダはあらかじめ決めておく。

(出所:123RF)
(出所:123RF)

(2)発言者以外はミュートにする

 発言者以外、マイクは基本ミュートにする。生活音や声、ちょっとした咳払いなどがマイクに乗ると、発言者の声とミキシングされて聞き取りづらくなる。

(3)ウェビナーではリハーサルをする

 ウェビナーで発言者が複数の場合、前日までに接続テストを兼ねたリハーサルを実施して、動作環境に問題がないことを確認しておく。当日になって発言者の環境などに問題が発覚すると、セミナー自体が失敗となってしまうことさえある。

(4)社内でも事前に動作確認をしておく

 ウェビナーの場合と同様だが、社内の会議でもサービスのソフトウエアアップデートなどで突然接続できなくなることもある。重要な会議の前は、事前の動作確認が重要になる。

 ツールの導入が広がり、参加者が慣れてきたことにより、ビデオ会議を開催するハードルは非常に低くなった。ビデオ会議はパソコンやスマホ、ブラウザーやネイティブアプリといった環境があれば、すぐに・どこからでも参加できる。

 どこでも利用できるため、社内環境や業務フロアについても考慮することになる。例えば筆者が勤める会社では、ビデオ会議用に専用の個室を用意し、原則個室内で通話するというルールにしている。オフィスエリアでビデオ会議を行うと、話し声が他の社員に届き、影響が出る場合があるためだ。

 このように、実際にビデオ会議の利用を進めるうちに、自社の業務スタイルや自分に最適化した活用法も見えてくるだろう。

8. ビデオ会議の代表的な事例

9. 注目のビデオ会議関連製品とサービス

 ビデオ会議を導入して現場で活用するには、様々な手助けをしてくれる製品やサービスを利用するとよりスムーズに進む。以下では、注目のビデオ会議関連サービスを紹介する。

SB C&S/ZVC Japan

10. ビデオ会議の新着記事

新里 祐教(にいさと ひろたか)
GMOインターネット 特命担当技術分析官
新里 祐教(にいさと ひろたか) 2003年にフリービットにてR&Dチームに在籍、その後の2007年からGMOインターネットグループにて多くの開発案件・新規事業に携わる。またオープン・プロジェクトであるSIPropでプログラマーとして、オープンソースや色々なアイディアを形にして展示をするなどの活動を国内外で行っている。主に開発全般とセキュリティを得意としている。