ぐるなびは2017年という比較的早い時期から電子契約を導入している。弁護士ドットコムのクラウド型電子契約ツール「クラウドサイン」を採用。紙の契約書も残しているが、大半の契約はクラウドサインによる電子契約で締結している。

 ぐるなびの池原淳五法務コンプライアンス部 コンプライアンス・リスク管理S S長は「ハンコの非効率さを何とかしたいと思っていた」と話す。紙とハンコの契約書を取引先と郵送でやり取りするには最低でも1週間はかかる。しかも印影が欠けていたり割り印を間違っていたりといったことで手戻りも多い。もっと効率化できるはずだと考えた。

 2020年7月現在、秘密保持契約書や業務委託契約書などは主にクラウドサイン上で締結している。委託業務はWebコンテンツ制作や原稿執筆などが多く、契約相手は個人事業主や零細企業が主だ。そういう取引先には電子契約に対応してもらいやすい。一方、コールセンターの業務委託先のような大企業からは従来通り紙での契約を求められることもあるという。

ぐるなびの社内向けサイトに掲載している電子契約マニュアル
(出所:ぐるなび)
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 ぐるなびは同社のWebサイトに掲載する飲食店との間で結ぶ契約も件数が多い。飲食店からは紙での契約を求められることも少なくないという。しかし飲食店との契約における電子契約の比率は7割程度に上る。

 電子契約の導入効果は小さくない。「紙に費やす家賃が減ったのが最大の効果だ」(池原S長)。ぐるなびのWebサイトで有料掲載している飲食店は約5万7000店に上る。電子化が進んだため、全て紙の場合に比べて大幅に保管スペースを節約できているという。

クラウドサインの将来性を評価

 池原S長が電子契約の導入時に検討したのはツールの有用性と、法的有効性の2点だ。

ぐるなびの池原淳五法務コンプライアンス部 コンプライアンス・リスク管理S S長
(出所:ぐるなび)
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 ツールについては、最初にアプローチがあったクラウドサインにそのまま決めた。「関係を深めやすい日本企業である点と、事業の継続性を重視した」(池原S長)。契約は企業経営の根幹に関わるだけに、日本の法制度や商慣習を熟知している日本企業のほうが付き合いやすいと考えた。

 電子契約ツールを提供する日本のベンダーは複数あるが、「弁護士ドットコムは事業の柱としてクラウドサインに大きく投資している。早期に撤退することなくサービスを継続すると考えた」(池原S長)。万が一撤退した場合でも、PDFファイルの契約書を手元に残しておける点も評価した。

 弁護士ドットコムがクラウドサインのサービスを始めたのは2015年10月だ。2017年ごろにはまだ機能面で成熟していなかった。

 例えばぐるなびは人事や総務、営業など部門ごとにアカウントを分けて、クラウドサインで契約書を管理している。ぐるなび社内の管理会計上、クラウドサインからの請求を部門ごとに分けるためだ。だが当時のクラウドサインは中小企業向けツールとして売り出していたこともあり、会社単位で請求する機能しかなかった。

 池原S長はクラウドサイン側に「部門別請求に対応してほしい。当社にとって必要だし、クラウドサインが今後上場企業などに導入してもらうためにも必須だ」と伝えた。すると、程なくして実装されたという。「最初から出来が良かったわけではないが、ユーザーの声を聞いて速く改善する姿勢は評価できる」(池原S長)。

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