5G(第5世代移動通信システム)技術を使い、企業が大容量の無線ネットワークを独自に構築できる「ローカル5G」。2019年12月に制度化され、これまではベンダーによる実証実験が中心だったが、DMG森精機やコニカミノルタ、ひびき精機、ブリヂストンなどユーザー企業でも取り組みの動きが出てきた。2021年にはいよいよ市場が本格的に立ち上がるとの見立てが多い。

ローカル5Gの免許の申請状況(2020年8月11日時点)
(総務省の資料を基に日経クロステック作成)
分類名称用途
製造業/
ベンダー
富士通自社導入並びに法人向け構築支援サービスの展開
NEC(予備免許)自社導入並びに法人向け構築支援サービスの展開
日立製作所(審査中)自社工場内のIoT(インターネット・オブ・シングズ)化の実証
ひびき精機(予備免許)スマートファクトリーの実現
CATV秋田ケーブルテレビ(審査中)ケーブルテレビ事業に活用(ラストワンマイルの代替)
ジュピターテレコム(審査中)ケーブルテレビ事業に活用(ラストワンマイルの代替)
ケーブルテレビ(審査中)ケーブルテレビ事業に活用(ラストワンマイルの代替)
ZTV(審査中)ケーブルテレビ事業に活用(ラストワンマイルの代替)
となみ衛星通信テレビケーブルテレビ事業に活用(ラストワンマイルの代替)
愛媛CATVケーブルテレビ事業に活用(ラストワンマイルの代替)
コミュニティネットワークセンターケーブルテレビ事業に活用(ラストワンマイルの代替)
通信会社NTT東日本スマート農業やeスポーツへの活用を見据えた検証
QTnet九州工業大学と連携した実証実験
GMOインターネット実証環境の構築
大学東京大学実証環境の構築
自治体東京都企業向け実証環境の提供
徳島県(予備免許)企業向け実証環境の提供

キーワードは「リモートと自動化」

 ベンダーによるとローカル5G関連の問い合わせや相談が2019年から増えており、累計の件数は富士通で「約600件」、NECで「数百件」に達する。「2019年までは情報収集が中心だったが、2020年に入ってからは技術的に踏み込んだ問い合わせが増えてきた」(ノキアソリューションズ&ネットワークスの霜越潔ノキアエンタープライズ事業部リード・カスタマー・ソリューションアーキテクト)。

 中でもローカル5Gに期待を寄せるのは製造業だ。「工場内の設備を全て無線化し、配置を柔軟に変更できる『レイアウトフリー』にしたいとの要望が多い」(NTTドコモの坪谷寿一5G・IoTビジネス部部長)。規模によるが、「ラインの組み替えには数百万円かかることもあり、無線化でこの費用を抑えられる」(NTTコミュニケーションズの江口誠経営企画部サービス戦略部門担当課長)。

 ローカル5Gは製造業に限らず、交通や電力、建設、プラント、農業、スマートシティーなど幅広い分野での利用が期待されている。キーワードは「リモートと自動化」(NECの藤村広祐ネットワークサービスビジネスユニット新事業推進本部部長)だ。

 前者のリモートは、5Gの特徴である「高速大容量」を生かした映像による遠隔監視や、「低遅延」を生かした遠隔制御を指す。単なる遠隔監視にとどまらず、高精細映像を組み合わせることで製造業では設備故障の予兆検知、農業では収穫予測などに役立てる動きがある。遠隔制御は建機やロボットなどへの適用が検討されている。

 一方、後者の自動化の代表例が無人搬送車(AGV)への適用だ。遠隔監視や遠隔制御の仕組みも活用し、無人搬送を実現させる。ゆくゆくは工場や倉庫の「完全自動化」や「完全無人化」を目指す企業は多い。

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