コロナ禍を機に多くの企業で米Slack Technologies(スラック・テクノロジーズ)の「Slack」や米Microsoft(マイクロソフト)の「Microsoft Teams」といったビジネスチャットの利用が進んだ。その結果、メールとビジネスチャットを併用することになり、両者の使い分けで混乱が起きている。ビジネスチャットが急速に普及した今こそ、組織ごとにルールを定めて主たるコミュニケーションツールをメールからビジネスチャットに移行すべきだ。そうすることで業務効率を大幅に向上させた現場が少なくない。先行事例を基に、ビジネスチャットへの切り替え方法やその効果を紹介する。

 部内の連絡はメールではなくSlackを使う――。アビームコンサルティングの全 大忠P&T Digital ビジネスユニットHCMセクターダイレクターは自身が管理する約100人の部署で2019年からこんなルールを設けている。

 メールよりもSlackを推奨するという緩やかなガイドラインではない。部内のコミュニケーションではSlackを利用することを部内ルールとして強制したのだ。「部内の人からメールが届いても返信しない」(全ダイレクター)という。

 なぜ部内のコミュニケーション手段を従来のメールからビジネスチャットに全面的に切り替えたのか。全ダイレクターは「コミュニケーションの効率を高められるからだ」と説明する。

 Slackなどのビジネスチャットであれば、メールと違って「お疲れさまです。○○です。」のように冒頭にあいさつを書く必要がない。いきなり用件に入れる。

 メールのように時間のあるときに見るという非同期のコミュニケーションにも使えるし、互いにリアルタイムにメッセージを打ち込む同期のコミュニケーションにも使える。非同期か同期かでコミュニケーションツールを変える必要がなく、一元的に履歴を残すことができる。

 コミュニケーションを取る相手ごとに、それまでにやり取りしたメッセージが履歴として表示される。そのため過去のやり取りを振り返りやすいうえに、メッセージの見逃しが減る。

 さらに一般的なビジネスチャットツールはファイル共有の機能を備えており、特定のメンバーだけがアクセスできるファイルサーバーのように使える。

 上記の1つひとつは小さな利点に思えるかもしれないが、「ビジネスチャットに切り替えた効果は大きいと実感している」と全ダイレクターは言う。

 メールをやめてビジネスチャットに切り替えた現場はほかにもある。NTTデータの角田昌幸欧米事業推進部G-Alliance室部長らのチームはコロナ禍を機に、チーム内の主たるコミュニケーション手段を従来のメールではなくMicrosoft Teamsに切り替えた。強制ではなく原則だが、チーム内でのメッセージのやり取りは大部分がTeamsになった。これによりチーム外や社外も含めたメール全体の件数は約半分に減ったという。

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