経済産業省と東京証券取引所が2020年8月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」。「日本の先進DX」といえる受賞企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。東レは全社横断のDX推進プロジェクトを立ち上げ、生産や研究開発分野でのデジタル変革に挑んでいる。

 東レは2020年5月、中期経営課題「プロジェクト AP-G 2022」を発表した。その中の重点施策の1つに「DXによる経営の高度化」を掲げている。

 デジタル活用を推し進めるため、2020年4月にDX推進のプロジェクト「TDX推進プロジェクト(TDXプロジェクト)」を始動。日覚昭広社長を委員長とする「TDX推進委員会」を立ち上げ、トップ自ら指揮を執ることで全社横断でDXを推進しやすい体制を整えた。

 東レがTDXプロジェクトで特に重要テーマとしているのが、生産と研究開発の高度化だ。人工知能(AI)などの先端技術を駆使し、研究開発から生産までのプロセスの高度化・効率化を図っている。

2020年4月に東レのDX推進プロジェクト「TDX推進プロジェクト」を始動した
(出所:東レの中期経営課題「プロジェクト AP-G 2022」)
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 生産分野では、生産工程における監視・検査においてデジタルの活用を進めている。

 従来、生産工程では品質を担保するために検査員による製品の目視確認など人手が必要だった。「カメラによる判定である程度不良品の検知を自動化していたが、(不良品の可能性がある)グレーゾーンを広くとる必要があり、どうしても目視確認のために人手が多く必要だった」と、東レの小林拓史生産本部生産総務室生産革新GL主幹は説明する。

東レの小林拓史生産本部生産総務室生産革新GL主幹
(撮影:日経クロステック)
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 東レはここにAIの画像認識技術を取り入れ、自動検査システムを内製で開発。AIに正常品と不良品の大量の画像データを学習させ、不良品扱いになる商品を自動で判別できるようにした。シート製品の生産プロセス監視にAIを適用した事例では、目視確認が必要な製品数を95%以上削減したという。「最終的な目視確認はゼロにはできないが、大幅な効率化につながっている」と小林主幹は自信を見せる。

 検査・監視などの単調な業務をAIに代替することで、「作業者をより付加価値の高い業務に充てられている」(小林主幹)という。同社が手掛ける製品は多岐にわたるが、今後も各工場の成功事例を横展開しさらなる生産性向上につなげる考えだ。

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