経済産業省と東京証券取引所が2020年8月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」。「日本の先進DX」といえる受賞企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。富士フイルムホールディングス(HD)はDXの取り組みによって新製品を相次ぎ生み出している。DXを加速させるため、現場を起点とする「ボトムアップ型のアプローチ」にも乗り出した。

 富士フイルムHDがDXによって生み出した新製品の代表例が、医師向けの画像診断支援AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」だ。2019年7月に発売した。

富士フイルムHDのAIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」
AI技術を活用して医師による画像診断を支援(写真提供:富士フイルムHD)
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 AI技術を活用してコンピューター断層撮影装置(CT)の画像から肺や肝臓、腎臓などの臓器を認識・抽出し、臓器の体積やサイズの計測を支援する。体内の断層画像をつなぎ合わせて3次元表示したり、血管や臓器を見やすくするために骨だけを非表示にしたりできる。

 2020年5月には肺がん診断で胸部CT画像から「肺結節」の候補を検出する支援機能を追加した。肺結節はCT画像で肺部分に映る白っぽい影のことで、肺がんなどの可能性を示す重要なサインとなる。新機能ではAI技術を活用して胸部CT画像から肺結節の候補を自動で検出する。

 2020年5月には、新型コロナウイルス肺炎の診断を支援する技術開発も国内医療機関と共同で始めた。2019年4月に京都大学との共同研究で開発した間質性肺炎(肺に炎症や線維化が生じて肺が硬くなる病気の総称)の病変を定量化する技術を応用し、新型コロナウイルス肺炎患者の経過評価や治療効果の判定などを支援できるようにする。2020年内の製品化を目指して、薬事申請する予定という。

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