今回はクラウドのネットワークについて解説しよう。クラウドのネットワークは2種類ある。クラウドサービスを構成する物理的なネットワークと、利用者から見たクラウドサービスにおける仮想ネットワークだ。まずは前者について見ていこう。

世界中を結ぶネットワーク

 クラウドサービスを提供する事業者は、世界中にデータセンターを配置し、専用線でつないでいる。なかでもAWS、Azure、GCPといった大手サービスを提供する事業者は世界各地に巨大なデータセンターを配置している。しかしこうした物理的なデータセンターは利用者からは見えない。

世界中に「リージョン」が点在(出所:米マイクロソフト)
世界中に「リージョン」が点在(出所:米マイクロソフト)
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 利用者はデータをどこの地域のデータセンターに置くのかを「リージョン」という単位で指定する。リージョンは地域という意味で、日本であれば東京リージョンや大阪リージョンを用意している事業者が多い。通信の遅延やデータの配備場所などを考慮し、近いリージョンを選ぶのが一般的だ。ただしそのリージョンで使いたいサービスが提供されていない場合がある。

 利用者はリージョンの中でさらに「ゾーン」または「アベイラビリティーゾーン」を指定できる。事業者によって呼び方が異なる。各ゾーンには1つ以上のデータセンターが含まれている。ゾーンは事業者がリソースの稼働を担保する単位である。実態とは異なるが、利用者にとってはこれがデータセンターを指していると考えると分かりやすい。

リージョンとゾーンとデータセンターの関係
リージョンとゾーンとデータセンターの関係
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 同一リージョン内のゾーン同士は遅延が低く、帯域の広い回線で接続されている。例えばAWSではアベイラビリティーゾーンは100km以内に配置されていて、「遅延を数ミリ秒に抑えている」(アマゾンウェブサービスジャパンの瀧澤与一技術統括本部レディネスソリューション本部本部長)という。

冗長化を2段階で

 クラウドのデータセンターがこのような構成になっているのは、利用者が可用性を十分に確保できるように、2段階で冗長化しているためだ。

ゾーンとリージョンの2段階で冗長化
ゾーンとリージョンの2段階で冗長化
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 具体的にはまず2つ以上のゾーンを利用して冗長化する。例えばサーバーラックの故障などによるネットワークトラブルが発生した場合や、火災などによってデータセンターが被災した場合はゾーンを切り替えて対応する。

 さらにリージョンをまたいで冗長化する。これによりディザスターリカバリーに対応する。例えば大規模な地震が発生してリージョン全体が使えなくなるような場合でも事業を継続できる。

 また世界中に拠点がある企業の場合は、ディザスターリカバリー以外に地域ごとの利便性やデータの保護といった観点からリージョンを選択することも考えなければならない。

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