
新型コロナウイルス禍に翻弄された2020年が終わり、新しい年を迎えた。企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)へ一斉にかじを切り、「デジタル」は経営者の一大関心事になった。政府もデジタル化の旗を掲げ、行政手続きの見直しや自治体システムの仕様統一に動く。歴史に残る1年から新たな年へ、国内ITサービス大手はどんな成長戦略を描くのか。日立製作所、富士通、NTTデータ、NEC、日本IBMの各社トップのインタビューを通じて、2021年のIT業界を展望する。
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新型コロナウイルス禍に翻弄された2020年が終わり、新しい年を迎えた。企業はデジタルトランスフォーメーション(DX)へ一斉にかじを切り、「デジタル」は経営者の一大関心事になった。政府もデジタル化の旗を掲げ、行政手続きの見直しや自治体システムの仕様統一に動く。歴史に残る1年から新たな年へ、国内ITサービス大手はどんな成長戦略を描くのか。日立製作所、富士通、NTTデータ、NEC、日本IBMの各社トップのインタビューを通じて、2021年のIT業界を展望する。
デジタル変革への熱意の高まりを受け、日本IBMは支援事業体制の強化を急ぐ。同社を率いる山口明夫社長は米本社の戦略に沿ってグループを再編し、基盤を問わないシステム作りを目指す。柱の一つである銀行向け事業の強化へ、運用子会社の設立をはじめ攻勢をかける考えだ。
営業利益率5%の業績目標達成へ。コロナ禍にあっても、NECの新野隆社長は歩みを止めない。次世代通信「5G」によるゲームチェンジに備え、NTTとの資本提携など種もまいた。改革は道半ばとの自覚を新たにし、2021年4月の退任までにさらなる成長の足がかりを築く考えだ。
NTTデータは2つの風を同時に受けているという。一部顧客のIT投資縮小という向かい風と、デジタル化の追い風だ。本間洋社長はデジタル庁などの追い風に乗るため、顧客との協業や人材育成を急ぐ。自らの強みを伸ばしながら、NTTグループとの連携を強める戦略に舵(かじ)を切る。
2020年に変革の方針を矢継ぎ早に打ち出した富士通。時田隆仁社長は各施策を2021年に着実に実践すると宣言する。共同開発した「富岳」が世界2連覇を果たす一方、東証のシステムトラブルでつまずいた。技術をなりわいにする企業として、先端技術の開発と安定したシステムの両立を目指す。
上場子会社の再編など、事業の選択と集中の最終局面に入った日立製作所。東原敏昭社長はITの部隊を成長のけん引役と位置付ける。デジタル技術で全社改革を下支えし、連結で悲願の営業利益率10%を目指す。