在宅勤務の長期化でコミュニケーション不足という課題が見えてきた。新しい働き方を確立しようとする先進企業は、この解決に乗り出している。「1on1」を切り札に、非対面で対話する機会の創出に動いている。

 テレワークありきの新しい働き方を確立する上で、まず解決すべきはコミュニケーション不足という課題である。この課題を強く感じて解決策を講じてきた1社が電子書籍販売サービスなどを手掛けるイーブックイニシアティブジャパンだ。

 2020年2月以降、社員約180人の多くが新型コロナ対策でテレワークに取り組む中、それまで月2回だった上司と部下の個人面談「1on1ミーティング」をWeb会議サービスで実施し、週1回に増やすといったコミュニケーションの活性化策を講じた。「情報共有が進むなど効果が得られている」とイーブックイニシアティブジャパンの今井輝夫執行役員コーポレート本部長は話す。

 同社は2019年2月、本社オフィスを移転した。社員同士の対話を活性化させ新事業のアイデアなどの創出につなげる狙いで、社員の自席を設けないフリーアドレス制を導入するなどした。しかしコロナ禍で2020年2月以降、オフィスで見込んでいた対話の促進が難しくなる。そこで「オンラインでコミュニケーションを取れる機会を多く作ることにした」(今井執行役員)。1on1を増やすとともに、一体感を高めるためチーム単位の朝会も奨励した。

 さらに経営層と社員が参加して業績などを共有する会議を毎月オンラインで実施。「部長」「一般社員」といった対象を絞ったミーティングの場も設けている。「他の部署の取り組み状況を把握できるなど参加者には好評だ」(今井執行役員)という。

 イーブックはこの他、豪アトラシアンの情報共有ツール「Confluence」を使って業務を可視化している。各チームのメンバーは予定や実績を共有。テレワーク中のメンバーに向け、オンライン会議の一覧も公開する。

イーブックイニシアティブジャパンが実施しているコミュニケーション促進策。1on1を軸に対話の機会を増やして情報を共有
(Confluenceの画像提供:イーブックイニシアティブジャパン)
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1on1は仕事のよりどころ、雑談の機会にも

 新しい働き方の確立を進める多くの企業が最も重視しているのが1on1ミーティングだ。

 2020年2月から新型コロナ対策として在宅勤務を中心とした働き方を推進してきたヤフーは、その後の社員への調査で支障なく業務を進められたことなどが分かり、同年10月、オンラインを前提に時間と場所にとらわれない新しい働き方へ移行した。

 移行できた要因の1つが、2012年ごろから取り組んできた1on1の定着だ。週1回、30分程度の1on1では、上司と部下が仕事の目標設定や進捗確認をしたり、上司が部下から相談を受け付けたりしている。ヤフーの金谷俊樹コーポレートグループピープル・デベロップメント統括本部コーポレートPD本部長は「新しい働き方に移行するに当たって、1on1をしていたことは大きかった。社員は1on1をよりどころに仕事を進めている」と話す。

 2020年2月からテレワークを推進しているコニカミノルタジャパンでも、オンラインで1on1を実施している。「社員のメンタルヘルスを維持する場としても1on1を重視している」と牧野陽一コーポレート本部経営企画部副部長は説明する。一人暮らしの社員は誰とも話さず過ごす場合があるので、雑談の機会にもしているという。

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