チャットやビデオ会議で毎日、部下全員の状態を確認していたが、1人から体調不良で当面業務ができないとの報告が届いた。聞けば、しばらく前から具合の悪い日が徐々に増えていたという――。テレワークが続く中で、このように上司が部下の体調不良に気づかないまま悪化させてしまうケースは少なくない。

 オフィスに集まって業務を進める環境では、上司は部下の様子をさりげなく観察できた。体調が悪そうな部下がいれば、他の部下が知らせてくれることもある。早く気づけば、仕事をサポートして負担を軽減したり、しばらく休ませたりできる。

 だがテレワークでは、得られる部下の情報がオフィスよりも圧倒的に少ない。テキストチャットではなくビデオ会議を用いた場合でも、画面に映った姿や声の様子から体調不良を判断するのは意外に難しいものだ。特に注意が必要なのはストレス性の疾患だ。少しずつ悪化していくケースが多く、余計に気づきにくい。

テレワークでストレスをためこむ部下がいる
(出所:PIXTA)

 テレワークで上司はどのように部下のストレスや体調を把握すればよいのか。取材から見えてきたのは、部下が相談しやすい環境をいかに構築するかだ。

オンラインミーティングを工夫する

 「仕事に切れ目がなくなりがちで雑談もない。仕事が終わった後、一気に疲れが出てしまう」。人事制度や社内の風土改革などをコンサルティングする、KPMGコンサルティングの油布顕史People & Changeプリンシパルは在宅勤務の課題をこう指摘する。他の社員と話す機会が減るテレワークでは、部下はどれだけのストレスがたまっているかが自分でも判断しづらくなるのだ。

 油布プリンシパルは、こうした状況を改善するうえで「ストレスの状況が分かるような環境の構築が重要だ」と話す。そのうえで、具体的な対策の1つとして1対1のオンラインミーティングの頻度を高めることを勧める。部下にとっては複数の人が参加するオンラインミーティングより1対1のほうが本音を話しやすいからだ。

 さらに油布プリンシパルはオンラインミーティングを開く際のポイントを2つ挙げる。上司と部下のどちらも画面に自分の顔を映すこと、上司がオンラインミーティングの意図を説明することである。ストレスは表情の変化に表れやすい。ストレス過多の兆候を見逃さないためにも、できるだけオンラインミーティングで顔を映すのが望ましい。

 何のためにオンラインミーティングを開くのかを伝えることも重要だという。例えば業務の進捗が知りたい、ただ顔を見て体調を確認したい、といった目的を伝えておく。こうすることで部下は安心してミーティングに臨める。

 しかし上司と1対1では本音が言いづらい部下もいる。そのような場合は、部下に1対1のオンラインミーティングの相手を選ばせるのも有効だという。年が離れた上司に本音は言いづらいが、年が近いメンバーになら言えることがある。部下が選んだ相手に、業務の進捗や仕事の愚痴などを聞いてもらう。上司はその人から報告してもらい部下の状況を把握する。

 ただしこの場合は、「1対1のオンラインミーティングの留意点を伝えておくことが大切だ」と油布プリンシパルは話す。例えばオンラインミーティングで得た情報を他人に漏らさないこと、相手を否定しないこと、上下感を出さないことなどだ。

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