企業はDXを実現するために人材をどう集め、推進のための組織を作り上げていくべきなのか。複数の成功企業の事例を基に、DX組織作りの勘所を探る。

 ホームセンター最大手のカインズは2019年に「IT小売業」への変貌を宣言し、デジタル変革を進めてきた先進企業の1社として知られている。開発の内製化を掲げ、もともとEC(電子商取引)担当の10人程度だった同社のデジタル部門を、中途採用と社内異動で約150人の組織まで拡大するなど大胆なチーム作りを進めてきた。

 DX人材の採用が思うようにいかない企業が多い中、なぜカインズはこれほど急ピッチでチームづくりを進められたのか。池照直樹デジタル戦略本部長は「会社としてのデジタル戦略のビジョンを明確にしているのが大きい」と説明する。

デジタル戦略を策定し必要な人材を見定める

 池照本部長がDX推進のためのチーム作りに向けて真っ先に取り組んだのがデジタル戦略の策定だ。「目標を定めて戦略の方針が定まれば、どういった組織を作る必要があり、どういった人材を集めるべきなのかがおのずと見えてくる」(池照本部長)。

 カインズはデジタル戦略を策定する上で顧客を4象限に分けて分析した。来店頻度の高い客と低い客、会員IDを登録しアプリなどで接触できる「デジタル会員」の客とそうでない客だ。すると来店頻度が高く、デジタル会員である顧客はほかのセグメントの客と比べて年間の購入金額が圧倒的に高いことが分かった。「僕らはここ(デジタル会員であり頻繁に買い物をする顧客のセグメント)へいかに(他のセグメントから)人を集めて売り上げを伸ばすかという、非常にシンプルなデジタル戦略を掲げた」(池照本部長)。

 カインズの最終的な目標はデジタル会員を増やし、消費者一人ひとりに合わせた販促でロイヤルティーを高める「One to Oneマーケティング」に定まった。ただ「デジタルマーケティングが得意な人だけを採用すればいいわけではない。そこまでの過程でどのようなデジタル施策が必要で、どんな人材が必要になるかをきちんとDX推進のリーダーが落とし込む必要がある」(池照本部長)。

 ここでカギとなったのが「ジョブディスクリプション(職務定義書)」の策定だ。仕事内容や必要なスキルを明文化した。

カインズが実施した顧客を4象限に分ける分析。フェーズごとに必要なデジタル施策と人材を定義した
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