DX推進の人材獲得は一足飛びにはいかない。組織づくりに失敗しないためにはどのようなポイントに注意すべきなのか。DX人材の採用から育成、組織作りまで、先進企業への取材から5つの教訓と対策が5つ見えてきた。

DX組織作りの「べからず5カ条」
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(1)ビジョンがないままDX人材確保に動く → 明確なゴールを定めてから採用や育成に臨むべし

 DX推進プロジェクトを立ち上げてすぐに、中途採用で人材確保に動いてしまうのは大きな落とし穴だ。リクルートキャリアの早崎士郎マネジャーはDX関連の中途採用で多い失敗事例として「デジタルで何をしたいかが決まっていないのにもかかわらず、いきなり『責任者にコンサル出身者を入れたい』『年収はこれくらいで』など各論から人材募集しているケース」を挙げる。まずはビジョンを策定し事業計画を立て、要員計画を練ってから、採用戦略に移るといった流れが必要だ。

 「DXの初期フェーズで何をすべきかわからない時期や方向性を決めていく時期は、まずはDXのビジョンを定められる責任者を据えることが先決になる」(早崎マネジャー)という。経営トップ自らビジョンを描くもよし、外部からデジタル戦略にたけたDXのリーダーを招へいするのも有効な手段だ。ビジョンを描き必要な人材像や組織像を定めてから、人材を社内から集めたり育成したり、外部から雇用したりして組織作りを進めるべきだ。

(2)「何でもできる」DX人材を探す → 適材適所の人員配置で「チーム作り」を目指すべし

 デジタル変革を推進するため「何でもできる」DX人材を探そうとするのも、よくある失敗例だ。募集要項のハードルが高く、全く応募がなかったり、「採用してみたら何でもできる人が何にもできない人だったりするケースは往々にしてある」(カインズの池照直樹デジタル戦略本部長)。

 1人の敏腕エンジニアの採用を目指すのはなく、任せたい業務と期待するスキルを明確にする「ジョブディスクリプション(職務定義書)」を策定し、適材適所の人材配置をする意識が重要になる。そのためDXリーダーには、ビジョンに沿って具体的なデジタル施策を描き、実現に必要な人材の能力や人員規模に落とし込めるスキルが求められる。

(3)即戦力のDX人材を求める → ある程度「育てる」意識を持つべし

 ジョブディスクリプションの策定で必要なDX人材像が見えたところで、即戦力ばかりを期待するのもうまくいかないポイントだ。「募集をしているがどうしても人材が集まらない」と嘆く企業は多い。欲しいスキルを持った人が転職市場にそのままいるケースはまれだろう。近いスキルを持ち、新しいことを吸収する意欲のある人材であれば採用し「自社で育てる」という気概を持つべきだ。

 DXに積極的な地方銀行として知られる北国銀行は、「あえて」未経験の若手をエンジニアとして積極的に中途採用することで知られている。採用責任者である同行の岩間正樹システム部システム部長兼開発グループ長は「DX時代には従来にない技術を取り入れていく必要がある。そうであればITの経験が長い人を中途採用するよりも、学習意欲が高い若手をいちから育てる方が結果的に戦力になる」と話す。未経験の若手を狙いうちすることで、即戦力DX人材の獲得競争に巻き込まれず、人材の確保につながっているという。

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