目に見えない電波が相手なので、無線LANトラブルの原因を突き止めるのは一苦労だ。だが、どのような原因があるのか当たりをつけられれば推測しやすい。そこで最近よく見られる無線LANトラブルの原因と対処法をまとめた。ぜひトラブルシューティングに役立ててほしい。

取り上げる無線LANトラブルの原因
以降では、それぞれの原因と対処法について解説していく。今回は原因1~5を取り上げる。
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原因1
iPhoneでのMACアドレスのランダム化

 iPhoneでOSをアップデートしたところ、無線LANが使えなくなった――。最近、こうしたトラブルが頻発しているという。これは、iOS 14でデフォルトとなったMACアドレスのランダム化によるものだ。

 MACアドレスは48ビット長で、イーサネットや無線LANで宛先や送信元を指定するためのアドレスだ。基本的に、重複しない番号が固定的に割り当てられる。特に前半部分はベンダーごとに割り当てられるもので、OUI(Organizationally Unique Identifier)と呼ばれている。

 端末ごとに固有という特徴から、国内の企業では認証やフィルタリングにMACアドレスを使うケースが多い。ところがプライバシーを高めるため、MACアドレスにランダムな数値を使う機能がiOS 14からデフォルトで有効になった。このため、認証が通らなかったり、認証ポリシーが適用できなくなったりする。

iOS 14搭載のiPhoneが無線LANにつながらなくなる
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 こうした機能はWindowsやAndroidにも搭載されているが、「iOS 14でMACアドレスのランダム化がデフォルトで有効になったことで、問題が顕在化した」(ネットワンシステムズ ビジネス開発本部 第3応用技術部 第3チームの丸田 竜一氏)。

 この機能の厄介な点として、ヤマハ コミュニケーション事業部 CC開発部 ネットワークソフトグループ 主事の鈴木 俊太朗氏は「トラブルシューティングのときにSyslogで端末を追跡したり、MACアドレスからベンダー名を追跡したりできないので、どのベンダーの端末でトラブルが起こりやすいかなどの傾向をつかみにくくなる」と指摘する。「トラブルシューティングの観点からは不便だが、プライバシーへの配慮はグローバルな流れだ。今後はMACアドレスに頼らない方法を考えていく必要がある」(ヤマハの鈴木氏)。

 対策は2つある。1つはiOSでMACアドレスのランダム化を無効にすること。iOSの「設定」画面で「Wi-Fi」をタップし、さらに接続している無線LANの「i」マークをタップすると「プライベートアドレス」という項目が表示される。これをオフにすればランダム化の機能が無効になる。

 もう1つの対策は、認証にMACアドレスを使うのをやめて、より強固なIEEE 802.1Xに切り替えることだ。「MACアドレスだけでは端末の同一性を識別する要素としては不十分。MACアドレスの認証からIEEE 802.1X認証に移行するのが今の流れだ」(ネットワンの丸田氏)。

原因2
最新規格のWPA3で接続

 WPA3は最新のセキュリティー規格で、これまで見つかった脆弱性や攻撃手法を回避するように開発された。だが新しい規格であるがために、うまく接続できないケースがある。

 ヤマハによると、iOSの特定のバージョンでWPA3の通信が不安定になることが、現在開発中の製品の検証で分かってきたという。例えば、1回目は接続できるが2回目以降は接続できない。こうした現象が見られるのはiOS端末のみで、パソコンやAndroid端末では観察されなかったとしている。

 こうしたトラブルの原因について、「管理フレームの暗号化が必須となったので、その復号がうまくできなくて接続性が悪くなる可能性がある」とバッファロー コーポレート営業部 営業技術課 東日本フィールドエンジニア係 係長の平井 敏幸氏は推測する。

 WPA3で接続が悪くなる端末がある場合、現時点ではWPA2を使うようにAPを設定するしかない。

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