新型コロナ禍のテレワーク環境下で、部下とのコミュニケーションは難しくなった。ミスを指摘するときにもポイントを押さえた叱り方が不可欠だ。本特集では日経SYSTEMSの過去記事を再編集。部下との関係を悪化させない「叱り方」の極意を解説する。

 部下のためを思い、成長を促すために叱ったのに、想定以上に落ち込んでしまい逆効果になった――。こうした場合は、マネジャーの叱り方に問題があるケースが多い。今回は「どんなときに叱るべきか」を考えてみよう。

 いつも5分ぐらい遅れて始まる定例ミーティング。たまたま今日は、ほぼ全員が時間通りに集まった。5分ほど遅れたのは1人の部下だけだった。「何をしていた。たるんでいるんじゃないか」と、上司がその部下を叱った。

 このとき、叱られた部下はどう感じるだろうか。「いつもみんな遅れるのに今日だけオレの遅刻を問題にするなんて。上司は気分次第で怒るんだ」。こんな具合に、遅刻を反省しないばかりか、上司に対して不満を募らせかねないだろう。

 「遅刻をして叱られた」という事実だけをとらえると、部下は反省して当然なのに、どうしてそうならないのか。大手ITベンダーのAさんは、「叱ったとき、部下の側に納得感がないからだ」という。

 叱られたことに対して、部下が納得感を持てれば、真摯に反省するだろう。一方、納得感がなければ、上司への不満を募らせるだけで反省につながらない、というわけである。

叱る基準の明確化が必要

 では、叱られたことに対して部下に納得感を持たせるにはどうすればよいのか。そのときに重要なのが、「こういうケースでは叱る」という基準を設定し、部下との間で共有することである。

 基準が明確だと、叱った内容を部下も素直に受け止めやすいと思われる。

 先の遅刻の例では、この基準が極めてあいまいだった。上司は「1分でも遅刻すれば叱ることもあり得る」、部下は「5分ぐらいの遅刻なら叱られない」とそれぞれ考えていた。

 つまり、そもそも上司には明確な基準がなかったうえに、部下は勝手に独自の基準を想定していた。これでは部下に、納得感が生まれるはずもない。あらかじめ上司が、遅刻の弊害を指摘したうえで「1分でも遅刻すれば叱る」という基準を設定しておくことで、部下に反省を促せるのである。

 ここで、「上司が一つひとつ叱る基準を定めておくのは無理」と思うかもしれない。確かに、それには時間がかかる。そこでお勧めしたいのが、「二度目から叱る」という方法である。

 ITベンダーで執行役員を務めるBさんは「初めてのミスでは何がいけないのか分かっていない場合があるので、注意するにとどめる。しかし同じミスを二度繰り返したら、ためらわずに必ず叱る」という。

 例えば、部下にパッケージ・ソフトを選定するための調査を依頼したところ、情報を集めてきただけだったことがある。そのときBさんは「ソフトを比較できるように情報を整理しなければ、調査を終えたことにならない」と注意した。後日、その部下は別の製品選定の調査でも、情報の整理が不十分なまま報告を上げてきた。Bさんは「同じことを何度も言わせるな」と叱ったという。

この先は日経クロステック Active会員の登録が必要です

日経クロステック Activeは、IT/製造/建設各分野にかかわる企業向け製品・サービスについて、選択や導入を支援する情報サイトです。製品・サービス情報、導入事例などのコンテンツを多数掲載しています。初めてご覧になる際には、会員登録(無料)をお願いいたします。