本対談シリーズでは、上島千鶴氏(Nexal代表取締役)と熊村剛輔氏(セールスフォース・ドットコムビジネス コンサルタント / エバンジェリスト)に、日本のBtoB企業のデジタルマーケティングに関わる最新動向を聞いてきた。

 4期目となった今回は、(1)2020年からの新型コロナウイルスの感染拡大がデジタルマーケティングにどのような影響を及ぼしたのか、(2)DX(デジタルトランスフォーメーション)に営業/マーケティングの変革はどう結びついたのか、(3)2021年以降のデジタルマーケティングに何が起こるのかについて聞いた。

(聞き手は松本 敏明=日経クロステック Active、記事構成は赤坂 麻実=ライター)



前回の対談は2年前の3月で、年号はまだ「平成」でした。それから「令和」に変わり、新型コロナウイルス感染症の流行という大変動に直面しました。

 MA(マーケティングオートメーション)などのデジタルマーケティングにかかわるツールの環境にも変化があるようです。令和に入ってからの2年間について、デジタルマーケティングの情勢をどのように見ていますか?

上島:新型コロナウイルスの流行で、訪問対面での営業活動を控える企業が増えました。いまや営業やマーケティングをデジタル化しなければ、案件を生み出せない状況になっています。

上島 千鶴氏(Nexal 代表取締役)
事業戦略からマーケティングを定義し、デジタル接点やデータを活用したマーケDXに関与。過去13年間で大手200事業体を超えるプロジェクトの経験と幅広い知見を持つ。近著は「営業を変えるマーケティング組織のつくりかた ~アナログ営業からデジタルマーケティングへ変革する」(技術評論社刊、2021年3月)

 弊社に相談に来られるクライアントも、今期(2021年4月~2022年3月)から本格的にマーケティング組織をつくり、営業活動のデジタル化に取り組む企業が多いです。また、非対面型の営業組織(営業担当者がオンライン上で顧客とコミュニケーションを取る組織)を立ち上げるなど、組織体制を見直す企業が増えました。

熊村:2021年1月に開催された「CES 2021」の基調講演で、米ベライゾン・コミュニケーションズのハンス・ベストベリ最高経営責任者(CEO)は「新型コロナウイルスにより、デジタル革命は5~7年早まった」と話していました。その言葉に象徴されるように、マーケティングの分野でも一気に、しかも不可逆的に、デジタル化が進んだ印象です。

 対面での営業活動が困難になり、ようやくBtoB企業各社も、デジタルマーケティングに本気で力を入れ始めたという気がしています。

 というのも、リモートワークが普及し、業務のかなり大きな部分がオンラインになったことで、これまでの営業スタイルを大きく見直さないといけなくなってしまったからです。そもそも“飛び込み営業”という考え方がなくなってしまいましたし。付き合いのない会社のビデオ会議に、いきなりオンラインで参加するといったことは不可能です。

 営業活動に際して、まず自分たちの会社のことを知ってもらうことが必要になるわけですが、これが非対面になると、途端に難しくなります。自分の会社や製品を知ってもらうための活動など、客先へ提案に行く前の活動(マーケティング)を真剣に考える必要に迫られたのだと思います。

上島:緊急事態宣言が最初に出た2020年春頃、あらゆる業種の経済活動にいったんブレーキがかかりました。その後で持ち直してはきたものの、業界によって回復具合が異なることが見えています。

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