米Google(グーグル)は米国時間の2021年5月18日に、開発者向けイベント「Google I/O」を2年ぶりに開催。中でも同社のスマートウオッチ向けOS「Wear OS by Google」と、韓国Samsung Electronics(サムスン電子)が自社製スマートウオッチに搭載しているOS「Tizen」を統合すると発表したことが注目される。なぜ両OSは統合する必要があったのだろうか。

スマートウオッチのOSを統合

 2020年は新型コロナウイルスの影響を受け、中止となったグーグルの開発者イベント「Google I/O」。2021年は当初からオンラインで開催するとしており、米国時間の5月18日に無事、開催された。

 今回は2年ぶりの開催ということもあって、基調講演で打ち出された内容は多岐にわたっていた。具体的には自然な会話ができる新しいAI言語モデルの「LaMDA」や、言語の壁を越えた新しい検索アルゴリズム「MUM」(Multitask Unified Mode)、そしてスマートフォン向けOS「Android」の新しいバージョンで、デザインのカスタマイズが大幅に強化された「Android 12」などである。

 そうした中でも驚きを与えたのが、グーグルのスマートウオッチ向けOS「Wear OS by Google」に関する発表だ。その内容は、同社のWear OS by Googleと、サムスン電子が自社製スマートウオッチのGalaxy Watchシリーズに搭載しているTizenを統合し、新しいOSを提供すると発表したからだ。新OSは今後サムスン電子製のスマートウオッチに搭載される他、従来のWear OS by Googleと同様、他のスマートウオッチメーカーも利用できるようになるという。

グーグルは米国時間の2021年5月18日に実施された「Google I/O 2021」で、サムスン電子とスマートフォン向けOSの統合を発表。「Wear OS by Google」と「Tizen」を統合した新OSを今後提供するとしている。画像は同イベントのスクリーンショット
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 ちなみにTizenは、もともとスマートフォン向けとして開発されていたオープンソースのOS。サムスン電子はそのプロジェクトを主導する企業の1つであり、かつては新興国向けにTizenを搭載したスマートフォンを提供するなど、自社製品にTizenを積極採用していた。

 しかしながらTizen搭載スマートフォンの販売に前向きだったNTTドコモから支持が得られなくなるなど、スマートフォンではAndroidとiOSの牙城を崩せずTizenは失速。その後サムスン電子はスマートテレビやスマートウオッチ向けのOSとして活用するに至っている。

サムスン電子が力を入れていた「Tizen」はもともとスマートフォン向けOSとして開発が進められ、実際にTizenを搭載したスマートフォン「Samsung Z1」なども販売されていた。写真は2015年3月2日より開催された「Mobile World Congress 2015」より(筆者撮影)
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 それゆえWear OS by GoogleとTizenの統合で、Tizenの行く末も気になるところだ。だが海外での報道を見るに、統合されるのはスマートウオッチに関してのみで、サムスン電子はスマートテレビ向けOSとして、引き続きTizenを用いる方針のようだ。

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