QRコードを活用したスマートフォン決済は、これまで急拡大を続けてきた。だが期間限定で店舗の決済手数料を無料化してきた事業者各社の施策が2021年後半に終了することで、正念場を迎えようとしている。手数料が経営に大きく影響する中小店舗が利用を継続するには、手数料を上回るメリットが求められる。そのためには何が必要だろうか。

店舗側の導入も進んだキャッシュレス決済

 現金への信頼が厚い日本では、長らくキャッシュレス決済の普及は進まないといわれてきたが、ここ2~3年のうちにその流れは大きく変わりつつある。そこに最も大きな影響を与えたのは、スマートフォン決済の急速な広がりであろう。

 とりわけQRコードを活用したスマートフォン決済サービスは、参入障壁の低さから新規参入が相次いだ。それに加えて2018年末ごろからは、事業者各社が顧客獲得のため20%のポイント還元など高還元率のキャンペーンを乱発したことから、一気に注目を集め利用が拡大したことは記憶に新しい。

 だが2020年に入るとサービス事業者は相次ぐキャンペーン合戦で疲弊し、業績を悪化させるところも出てきて急速に再編が進むこととなった。2021年3月に「LINE Pay」を有するLINEが「PayPay」を有するソフトバンク系のZホールディングスと経営統合したのも、LINEが顧客獲得のための高額還元キャンペーンにより大幅な赤字が続いていたことが影響したとみられている。

ZホールディングスとLINEは、経営統合後に国内のQRコード決済をPayPayへ統合する方針を打ち出している。写真は2021年3月1日にZホールディングスとLINEが開催した報道関係者向けの戦略方針説明会より(筆者撮影)
ZホールディングスとLINEは、経営統合後に国内のQRコード決済をPayPayへ統合する方針を打ち出している。写真は2021年3月1日にZホールディングスとLINEが開催した報道関係者向けの戦略方針説明会より(筆者撮影)
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 その結果QRコード決済の主力プレーヤーは、PayPayに注力するソフトバンク陣営と、「d払い」に加えメルカリ系列の「メルペイ」も取り込んだNTTドコモ陣営、「楽天ペイ」を有する楽天グループ、「au PAY」を有するKDDIという、携帯4社の陣営に絞られてきたようだ。4陣営は携帯電話だけでなく幅広い分野で競争を繰り広げているだけに、今後も激しい競争が続き消費者はその恩恵を受け、QRコード決済の利用はより広がっていくとみられている。

 また各社の激しい競争によって、キャッシュレス決済を導入する店舗も拡大してきた印象がある。もともとキャッシュレス決済の導入に積極的だった大手チェーン店はもちろん、最近は中小店舗も増えたと感じている。

 これまで中小店舗がキャッシュレス決済を導入しない主な理由の1つとして、キャッシュレス決済に対応する機器の導入と、決済額に一定の手数料がかかってしまうことが挙げられていた。とりわけ少額の決済が多く売り上げが小さい店舗などは、決済手数料が経営を圧迫してしまうことから敬遠する傾向が強かった。

 だが経済産業省が2019年10月から2020年6月まで実施した「キャッシュレス・ポイント還元事業」で、国の支援により機器導入の負担が軽減した。さらに2018年ごろから、顧客がQRコードを読み取って決済するMPM(Merchant-Presented Mode)方式でQRコード決済を導入した場合、決済手数料を長期間無料にするという施策を事業者各社が打ち出したことで、中小店舗における導入と利用が進んだ。

顧客がQRコードを読み取って決済するMPM方式は、専用の機材が不要でQRコードを置くだけと導入しやすいことから、主に中小店舗で多く導入されている。写真は2019年7月26日、「高円寺メルペイ通り」が展開されていた東京・高円寺の店舗にて(筆者撮影)
顧客がQRコードを読み取って決済するMPM方式は、専用の機材が不要でQRコードを置くだけと導入しやすいことから、主に中小店舗で多く導入されている。写真は2019年7月26日、「高円寺メルペイ通り」が展開されていた東京・高円寺の店舗にて(筆者撮影)
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