社内決裁や契約だけでなく関連業務も一気通貫で電子化だ――。紙文書削減だけにとどまらない異次元スケールのペーパーレス化策を大手が講じている。全社一丸で幅広い業務を変革するサントリーグループ、JTB、三井住友銀行に迫る。

 社内決裁や契約手続きのペーパーレス化を進める大手企業の中には、関連業務を含めて幅広く、大規模な電子化で業務効率を高めたケースがある。

 一例がサントリーグループだ。2018年に社内業務の生産性を向上させるプロジェクト「PPLP(ペーパーレスプロジェクト)」を発足。グループ全体で特に紙を取り扱うことが多い、他の企業と交わす契約に関する社内稟議(りんぎ)のペーパーレス化を進めている。契約稟議を電子化するシステムを開発して、2020年6月から稼働。グループ内に展開しており、2021年には国内40社での利用を見込む。2022年までに10万時間分、紙を扱う業務を効率化することを目指す。

サントリー、オールペーパーレス

 同グループが進めるペーパーレス化施策の特徴は稟議だけでない。その前の「契約書案作成」や、稟議が終わった後の契約書について「なつ印の依頼/依頼を受けた上司のなつ印」「文書管理」、契約書の内容に基づく「支払い」といった処理も対象にしている。

サントリーグループが一気通貫で電子化した契約関連の処理と主な工夫点の仕組み
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 手作業による上記の紙処理をシステム化したり、稟議システムを刷新したりした。さらにこれらを連携させて、業務担当者は一連の処理を1つのシステム画面から利用できるようにした。サントリービジネスシステムの田中雄生樹グループ経理部課長は「上流から下流まで一気通貫でペーパーレス化をしなければ、社員がどこにいても働ける状況は実現できないと考えて取り組んだ」と説明する。

 各システムの使い勝手にも工夫を凝らした。例えば「契約書案作成」では契約担当者が法務部門の担当者と、草案のファイルを共有しながら相談できるチャット機能を盛り込んだ。

 サントリーシステムテクノロジーの浜谷浩志サービス開発部課長は「契約書案を作成する業務担当者が悩んだときに、気軽にチャットで相談できるようにした」と説明する。当然紙文書にはこうした機能はない。この他、「なつ印依頼/なつ印」では電子契約クラウドを採用するなどしている。

100人以上の協力でUIを開発

 同システムは最終的に国内のグループ会社に所属する業務担当者1万人の利用を見込んでいることもあり、「直感的に操作できるようなUI(ユーザーインターフェース)を目指した」(田中課長)。既にコロナ下にあった時期、伝票処理などに精通している100人以上の担当者にオンラインで協力を得てシステムのプロトタイプ画面を操作してもらい、意見を集めて、直感的に操作できるUIに仕上げていった。

サントリーグループが開発した契約関連システムの画面例
(画面提供:サントリーホールディングス)
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 経理部門の担当者である田中課長は、過去の稟議書類を倉庫などへ行って探すこともあったという。「今回のシステムですぐに検索できるようになり、効率が上がった。今後はグループ会社に広くシステムを利用してもらう取り組みや、立て替え精算など他の業務でペーパーレス化を進めていきたい」と話す。

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