企業のデジタルマーケティングを支援するNexalが、データをビジネスに結び付ける環境づくりやツールの活用について解説する本連載。第9回の今回は、企業が持っている様々なデータベースを連携し、ビジネスに役立つデータ分析を可能にするCDP(Customer Data Platform)について、成功事例を挙げながら活用のポイントを解説する。

(出所:123RF)
単一データベースの分析では顧客の意向が見えない
デジタルマーケティングに活用するデータベースといえば、普及度が比較的高いCRM(顧客関係管理)ツールが代表格として捉えられている。しかしビジネスに役立つ分析結果を得るには、CRMだけでは不十分だ。
更新頻度がそれほど高くない「ストック型」情報である顧客データベース(CRM)に、利用状況や保守状況といった日々変動していく「フロー型」情報を組み合わせて分析することによって初めて、営業やマーケティング活動に役立つ示唆が得られる。それを可能にする中間データベースのようなシステムがCDP(Customer Data Platform)だ。
CDPとは、多様な顧客接点から得られるデータを収集し、顧客情報などにひも付けて統合したデータプラットフォームである。企業は、分析により示唆を得たり、マーケティング施策の実行に活用できたりする。
実際にCDPを構築する場合、Microsoft AzureやAWS(Amazon Web Services)などのクラウド上に各種データをためる「データレイク」を作り、そこに「IoTから収集した製品の利用状況」や「保守/サポートのコンタクト履歴」といったフロー型のデータを集めていく。
では、CDPを使った複数ソースのデータ分析は、なぜ必要なのか。製造業を例に考えてみよう。