「データ活用が、企業の成長のカギを握る」――。目的は多種多様でも、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む企業に欠かせない視点となっているのが、データ活用である。

 しかし、ビジネス活動で得られたデータを経営判断に活用して、成果に結びつけられている企業はわずかだ。各部門に様々なデータがたまり始めているものの、個々の連携は不十分で、ここから何をすべきかは具体化できていない。

 私たちNexalは、企業の事業戦略からマーケティングを定義し、デジタル接点やデータを活用した「マーケティング×セールスDX」に、多く関わってきた。本連載では、近年BtoB企業で重要性が増している顧客データを中心に、データ活用で間違いに陥らないための環境づくりや導入すべきツール、そしてその正しい使い方を解説する。

(出所:123RF)

 第1回は連載の総論として、なぜデータ活用が必要か、そしてデータ活用が停滞している企業では何が妨げになっているのかを解説する。

進まぬ日本企業のデータ活用、「KKD経営」を脱却せよ

 企業が事業を成長させるために欠かせない「データ活用」。しかし、その言葉から想起されるものや進捗度合いは、企業ごとに大きく異なる。

 実際、規模の大小にかかわらず、日本企業の経営者の多くは、データを前提とした(デジタル)マーケティングの方針や方向性を、具体的に描けていない。そのため、どの部分にコストや人手をかけるべきか、焦点を絞れないでいる。

 私たちは、データ活用に関するセミナーに登壇することが多いが、特に経営層の割合が高いセミナーでは、真っ先に以下のエピソードを紹介している。

自社Webサイトのアクセス解析をしている担当者が、ある重点取引企業から、納品したはずのプロダクトページへアクセスが集中していることに気がついた。この事実をきっかけに、営業担当者が顧客を訪ねてみると、予想外の事実に遭遇した。期中にもかかわらず決裁権者である事業部長が交代になり、全プロダクトの見直しを図っていたのだ。営業担当者は交代直後のタイミングを逃さず新部長に会いフォローを継続したことで、プロダクトの解約やリプレースには至らず、契約を維持できた。

 初歩的なアクセス解析データの活用例だが、会場からは驚きの声や感心のリアクションが上がる。「Webサイトのアクセス」という基本的なデータであっても、うまく活用すれば、製品の解約やリプレースの防止というビジネス活動に結びつけられる。このエピソードのように、マーケティング部門は経営層に、データ活用の意義を啓蒙していく必要があるだろう。

 だがマーケティング部門がまだ設立されておらず、これから新たに立ち上げようという企業も少なくない。これら企業では、データを活用する意識やデータ活用の効果に関する認識がさらに不足している。

 そんな企業の営業部長に現在の既存シェアを尋ねると、その答えと実績が乖離(かいり)していることがしばしばある。例えば、「自社のお客さまは流通・小売がメイン」、「歴史的に医療業界には強い」といったコメントが、自身が営業の第一線で活躍した頃のままである場合などだ。

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