経済産業省と東京証券取引所が2021年6月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2021」。「日本の先進DX」といえる選定企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。セブン&アイ・ホールディングスはエンジニアを大量に中途採用して内製化を推し進め、DXに挑んでいる。

 「セブンイレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する世界トップクラスのグローバル流通グループを目指す」。セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は2021年7月1日に開かれた中期経営計画(2021~2025年)説明会の場で、自社の将来像をこう力強く語った。

約160人を中途採用、内製化に舵を切る

 DX銘柄に初選出されたセブン&アイ・ホールディングスは、ここ数年でシステム開発の内製化に大きく舵(かじ)を切った企業の1社だ。2019年10月にエンジニア専用の採用チームを立ち上げ、2021年6月までに「約160人のIT/DX人材を中途採用した」(セブン&アイ・ホールディングス)。エンジニアゼロの状態から着々と内製力を身に付けてきた。

 「ITやDXを自社の競争優位の重要施策と位置付けるなら、それを外注するという選択肢はあり得ない」。セブン&アイ・ホールディングスの米谷修執行役員グループDXソリューション本部長は内製化に力を注ぐ理由をこう語る。

セブン&アイ・ホールディングスの米谷修執行役員グループDXソリューション本部長
(撮影:日経クロステック)
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 従来、同社は開発をすべてITベンダーに依存している状態だったという。「開発をアウトソースすると自社にノウハウがたまらない。ITベンダーから出てきた見積もりやスケジュールが正しいのかどうかを判断できない状態だった」と米谷執行役員は語る。

 ITベンダー依存の弊害はそれだけではない。「外部に任せるとスピードが出ず、自由度も上がらない。なので内製が必要と判断した」(米谷執行役員)。

 内製力を身に付けるため、同社はまずITベンダーの採用経験者や転職エージェントでエンジニア採用を担当していた人材を雇用し、エンジニア専門の採用チームを立ち上げた。その後セキュリティーや人工知能(AI)・ビッグデータなど約7個のカテゴリーごとに採用を進めている。

 同社の開発体制は明確だ。CRM(顧客関係管理)など、重要施策と位置付けるシステムの開発は内製部隊をメインとし、それ以外は従来通り適宜ITベンダーの常駐パートナーを使う。「すべてを自社で賄うつもりはないが、徐々に社員比率を高めて、コスト削減も進めていきたい」(米谷執行役員)。今後も開発案件の需給を見ながらエンジニアを雇用する計画で、「少なくとも倍(160人)は採用できると考えている」(同)と話す。

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