日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが2021年6月9日に都内で開催した「ITイノベーターズ会議」では、「売り上げ拡大、CX向上に効くデジタル戦略」をテーマに日本を代表するCIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)、有識者など約40人が議論した。ここで飛び出した注目発言をハイライトで紹介しよう。

DX戦略は経営戦略、事業戦略そのもの

――荏原製作所の小和瀬浩之執行役情報通信統括部長

 「実践していて改めて分かるのは、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略は経営戦略、事業戦略そのものということ」。こう語るのは、荏原製作所でCIO相当職を務める小和瀬浩之執行役情報通信統括部長だ。「DXを成功させるために、『事業部門をどのようにして巻き込めばいいのか』と聞かれるが、それは愚問だ」と小和瀬執行役は指摘する。

荏原製作所の小和瀬浩之執行役情報通信統括部長
(撮影:井上 裕康、以下写真同)
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 小和瀬執行役は、「製品やサービスの開発など様々な場面において、デジタル技術を活用しない変革事例は今やほとんどない」という。さらに、「製品・サービスやビジネスモデルを変革するには、IT部門が『事業部門を巻き込む』という考え方ではなく、『事業部門が自らITを使って変革する』というアプローチが求められている。事業部門が熱意と誠意を持って(DXに)取り組むことが重要だ」(同)と言い切る。

 売り上げ拡大や顧客体験の向上を狙ったデジタル変革については、IT部門が全ての責任を負えるわけではなく、事業部門がその結果にコミットしなければならない。「IT部門が事業部門を巻き込む」ことに悩んでいるような状況では、DXでビジネス成果を上げることは難しいといえそうだ。

社内でも危機感は様々、DXの優先順位を付ける

――コニカミノルタの市村雄二常務執行役

 「当社はDXを全社戦略と定義しており、社内、事業、社員の3つのカテゴリーに分けてDX戦略を進めている」。こう語るのは、コニカミノルタでDX改革を担当している市村雄二常務執行役である。

コニカミノルタの市村雄二常務執行役
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 ただ、事業部ごとにデジタル変革に対する熱量は様々という。「変わらないと生き残れないという意識の強い事業部門は、必死になって(DXに)取り組んでいるが、変革しなくても高収益を維持できている事業部門はそれほどでもない」(市村常務執行役)。こうした現状から、コニカミノルタは「DX施策に優先順位を付けて、比較的危機感の強い事業部門から変革に取り組んでいる」(同)という。

 コニカミノルタのDXの成果については、「徐々に出てはいるものの、『成果』というと利益で100億~300億円程度は求められる。そういった面ではまだまだ。今後は組織構造やプロセス、ガバナンス、インセンティブなども含めて変革し続け、きっちりと成果を上げられるよう努めたい」(同)と決意する。

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