近年、CX(カスタマー・エクスペリエンス:顧客体験)がビジネスのカギを握るといわれるようになった。CXの質の向上に力を注ぐ企業も増えてきたが、その手法や考え方には、忘れてはならない視点がある。「コンポーザブル」なアプローチで「トータル・エクスペリエンス」がもたらす付加価値を意識すべきだ。

キーワードは「コンポーザブル・ビジネス」と「トータル・エクスペリエンス」

 ガートナーは2021年11月、日本におけるCRM(顧客関係管理)/CXのハイプ・サイクル*1を発表した(図1)。その黎明(れいめい)期にプロットしたのが、コンポーザブル・アプリケーションとトータル・エクスペリエンスである。

図1●日本におけるCRM/CXのハイプ・サイクル2021年
図1●日本におけるCRM/CXのハイプ・サイクル2021年
(出典:ガートナー)
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 コンポーザブル・アプリケーションとは、市場の変化や不確実性に対して柔軟かつ迅速に対応できる「コンポーザブル・ビジネス」を実現するためのアプリケーションと考えればよい。ただし、コンポーザブル・ビジネスを実現するには、単に新たなテクノロジーを導入すればよいというものでなく、考え方(コンポーザブル・シンキング)とコンポーザブルなビジネス・アーキテクチャーを合わせて考える必要がある。企業はコンポーザブル・ビジネスを志向することで変化に耐えうる質の高いCXを提供できる。

 トータル・エクスペリエンスとは、マルチ・エクスペリエンス(MX)、CX、従業員エクスペリエンス(EX)、個々の顧客接点におけるユーザー・エクスペリエンス(UX)の4つの要素で構成される。互いに作用し合う4つの要素をそれぞれ高めつつ相乗効果を引き出し、洗練されたエクスペリエンスを創造するのが、トータル・エクスペリエンスの考え方だ。

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 MXはデバイスやチャネル、場所に関係なく一貫したシームレスな体験を提供することである。UXはユーザー(人)が何らかのUIを介して得られる体験を指す。例えば、少ないクリック数で操作が完了できるといったことが上質なUXといえる。

人手不足の国内企業こそコンポーザブルな手法でCX設計を

 今後はCXも、コンポーザブルなアプリケーションを使って設計していくべきだ。日本企業のCXにとっての重大な問題は、デジタルツールの選択肢が増え、顧客のニーズも変化する中で、リソースは変わらない(増えないどころか減少傾向である)ことだ。どの企業も人員不足にあえいでいる。


*1 ハイプ・サイクルは、企業がテクノロジーやアプリケーションに何を期待できるのかを理解できるようにガートナーが開発したもので、横軸に「時間の経過」を、縦軸に「市場からの期待度」を置く2次元の波形曲線で表す。テクノロジーやアプリケーションが市場に受け入れられるまでは、総じて同じ経過をたどる。初めて市場に登場した後に、期待は急上昇するが(黎明期)、成果を伴わないまま過熱気味にもてはやされ(「過度な期待」のピーク期)、熱狂が冷めると市場がいったん停滞し(幻滅期)、改めて実質的な市場浸透が始まり(啓発期)、成熟したテクノロジーとして市場に認知される(生産性の安定期)というステップを踏む。

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