新型コロナウイルス対策として在宅勤務を中心としたテレワークが普及する一方、テレワークに取り組むビジネスパーソンにとってコミュニケーションは依然、大きな課題になっている。解決しないと業務の停滞などを招きかねない。そこでテレワーク先進企業の取り組みを中心に、課題の解決策を紹介する。今回は、雑談を含めた業務外の対話の活性化策を押さえよう。

 テレワークを続けると、コミュニケーションの面で出社勤務時に比べて減るものがある。その1つが雑談の機会だ。同じ部署やプロジェクトなどで一緒の仲間同士の雑談は、信頼関係を築いたり、仕事を進めていく上での新しいアイデアを得たりする一助になる。しかし、多くの社員が在宅勤務などでテレワークを続けていくと、ビジネスチャットやWeb会議によるコミュニケーションは業務に関するものが中心になり、雑談は減りがちだ。絶滅寸前というケースも少なくない。

 テレワーク先進企業でもこうした点を課題として捉えて解決している。今回はヌーラボ、コニカミノルタジャパン、ぐるなび、キリンホールディングス、エン・ジャパンの5社を紹介する。雑談専用の1on1ミーティングを実施したり、定例会議の中に雑談タイムを組み込んだりする工夫を凝らしている。VR(仮想現実)と仮想的な部屋を組み合わせて雑談をする試みも進む。こうした工夫や試みが、仕事のしやすさや社員同士の連携の取りやすさに結びついている。

違う部署の上司と1on1ミーティング

 このうち雑談専用の1on1ミーティングを実施しているのが、2020年2月ごろからテレワークによる働き方に本格的に取り組んできたヌーラボだ。現在、社員の多くがテレワークをしているが、業務はスムーズに進められているという。

 ヌーラボ管理部人事労務課の安立沙耶佳氏によると、本格的にテレワークに取り組み始めた当初は「社内のコミュニケーションの量が減っている感覚があり、業務に良くない影響が及ぶのではないかと懸念していた」と振り返る。コミュニケーション量の減少で「業務上の相談がしづらく、悩みを抱えたままでいる」「誰ともしゃべらず仕事を続けていると気がめいる」といった課題が社員に生じるとみていた。

 こうした課題の未然防止に向けて、ヌーラボがテレワークの本格実施と同時期から始めたのが「スモールトーク」と呼ぶ1on1ミーティングだ。一般に1on1ミーティングは同じ部署にいる上司と部下が定期的に「部下の仕事に関する進捗や課題の共有」「部下が経験した仕事の振り返り」などをテーマに実施するが、ヌーラボのスモールトークは、違う部署の上司と、申込制で実施する点が特徴的だ。

 具体的には、社員が社内向けの専用フォームから申し込むと、10人ほどいる業務現場のリーダーのうち1人が話し相手になる。話すテーマも自由だ。「担当している業務上の相談を持ち込んだり、コーチングをしてほしいと依頼したりするなどテーマは様々だ。最近人と話をしていないのでしゃべりたいというニーズにも応えている」と安立氏は説明する。

喫煙所のような雑談が生まれる場をオンラインでつくる

 ヌーラボのように雑談の機会を設けているテレワーク先進企業は多い。コニカミノルタジャパンやぐるなび、キリンホールディングスは、Web会議サービスを使って定期的に社員が雑談できる機会を設けている。具体的には、部署のスケジュールに雑談タイムを組み込んだり、部署の定例ミーティングで雑談タイムを設けたりしている。

テレワーク環境下で雑談の機会を設ける工夫の例
テレワーク環境下で雑談の機会を設ける工夫の例
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 コニカミノルタジャパンの現場ではスケジュールに雑談タイムを組み込む動きが広がっている。Web会議サービスなどを使って、毎朝10分間、部署のメンバーが雑談をする機会を設けるなどしている。

 同社の管理職はこうした雑談の機会を重視しているようだ。同社の佐藤浩司コーポレート本部人事総務統括部人財開発部部長は「管理職同士がディスカッションすると、職場の喫煙所のように、社員同士が雑談してつながりを感じられるような場が重要だという意見が出てくる。テレワーク環境下でも、こうした仕事とも遊びとも言えないような時間が大切なので、オンラインでつくろうといった意見も多くある」と話す。

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